若手が医師会理事に聞く―医師会はどんな団体? 加入の意義、活動支えるモチベーションの源泉は
◇医師会に入ろうと思ったら、どの医師会に加入すればよい?
紫葉先生:神奈川県医師会や日本医師会など、医師会にもいろいろあると思うのですが、どのような医師会があって、それぞれどのような役割を持っているのかがよく分かっていません。また実際に「医師会に入ろう」と思ったとき、どの医師会に加入すればよいのでしょうか? 磯崎先生:医師会は「郡市区等医師会(以下、地域医師会)」「都道府県医師会」「日本医師会」の3層構造で成り立っています。先ほどお話しした地域での医療活動を行う医師を取りまとめているのが「地域医師会」。その地域医師会の声を吸い上げて、都道府県とともに医療政策を考えるのが「都道府県医師会」です。そして、国(官公庁)に対してはたらきかけ、国レベルで医療問題を解決するのが「日本医師会」です。 医師会に加入する際は、原則として3つ全ての医師会に入ることになっています。なお、郡市区や県をまたぐ転勤があった場合、同時に転勤先の医師会に異動する必要があります。加えて、手続きはインターネットでできず面倒なので、転勤が多い医師については日本医師会だけの加入を認めることや、異動手続きを簡便にすることなどが医師会内の検討課題として挙がっています。 小松先生:若手医師など条件によっては医師会会費が無料なのはよい点ですが、それでも加入や異動の手続きが面倒であれば入りたくありませんよね。ですから、個人的には日本医師会だけの加入というカテゴリーを設定してもよいのではないかと考えており、その点は今後変わっていけばよいなと思っています。
◇医師会に加入することで負担が増えないか心配……
山本先生:ほかの先生方と同じように、医師会が何をしているのか分かりづらい、というのは正直感じていました。また、加入することによって、かえって負担が増えてしまうのではないかという心配もあります。 磯崎先生:医師会の規模によると思いますが、規模の小さな地域医師会だと確かにいろいろな仕事が回ってくる可能性はありますね。 小松先生:メリットだけを考えれば、ほかにもっとよいアルバイトはたくさんあるでしょう。日々の診療だけでも忙しいなかで医師会の仕事をするには、ある程度のボランティア精神は必要だと思います。ただ、いくら協力したいというボランティア精神があっても、周りの医師がどれくらいの仕事を請け負っているのかが見えないと、自分だけが頑張っている気がして「引き受け損」だと感じてしまうと思います。医師会の活動に参画してもらうためには、「どのくらいの仕事量を何人で分担している」ということが分かるデータをきちんと示していき、納得感を持ってもらうことも大切だと感じています。地域の医療事業を継続するための人材確保と適切な采配を行うことは、地域医師会の重要な責務ですね。