池袋西武とヨドバシ「売り場折半」の波紋と懐事情、北側にヨドバシ出店、西武の集客力に影響は?
そごう・西武は池袋西武の本格的な改装工事に着手し、2025年1月から段階的にオープンする見通しだ。同店では地下2階で展開していた食品スーパー「ザ・ガーデン自由が丘」を今年1月末に閉店した。 また、池袋西武の改装案は「基本的にそごう・西武が主体となって決めたもの」(前出と別の関係者)というが、ヨドバシHDが展開するスポーツ小売りの「石井スポーツ」との兼ね合いもあり、池袋西武8階で展開していた「西武スポーツ」も5月末で閉店している。
■「百貨店半減」で従業員はどうなる 百貨店の改編で懸念されるのが、雇用の問題だ。正社員は前の親会社であるセブン&アイHDが今年の春から出向を受け入れているほか、現在の親会社であるフォートレスへの出向も検討されているもよう。また、池袋西武との店舗契約社員のうち、8月末までに退職の判断をした人を対象に「転身支援金」を支給することも明らかになった。 ラグジュアリー、コスメ、デパ地下のように重点展開する売り場がある一方、当然ながら縮小する売り場もある。筆頭が衣料品だ。現在は婦人服を主に3・4階、紳士服を5階で展開しているが、改装後は7・8階に雑貨、催事場、アートサロンが置かれ、その中にファッションも集約される。
関係者は「衣料品のナショナルブランドは、そごう・西武の(地方などの)標準店で重要な役割を果たしている。池袋から撤退を迫られれば、地方からも撤退するブランドが増えるのではないか」と影響を危惧する。 また、ブランドから売上高に対するマージンを得るビジネスモデルの百貨店として、一般的にマージンの売上高比率が高い衣料品が縮小することは、収益構造に対する影響も大きい。 関係者によると、そごう・西武が出店ブランドから得ている(対売上高の)手数料率より、ヨドバシHDがそごう・西武に対して求める家賃料率のほうが高い状態になっているという。
その差額分がそごう・西武の持ち出しとなれば収支は悪化する。マージンの売上高比率が低いと言われるラグジュアリーブランドが増え、利率の高い衣料品が縮小すれば、百貨店の利益率が低下することは免れない。売上高拡大が改装後の重要課題となる。 ■池袋西武は「外商」が強みだったが 改装計画のリリースには、「そごう・西武の強みでもある、お得意様向けの外商機能も今後さらに強化して参ります」と外商の維持についても言及がある。ただ「取扱商品の偏りは、池袋西武の外商にも影響を及ぼすのではないか」と懸念する声も聞こえてくる。