「そば並盛310円」“日本一の立ち食いそば屋”10円の値上げをも葛藤する理由「常連さんのため」「みんなが潤うことは不可能」
円安や物価高騰が止まらず、2024年も家計が圧迫される日々が続いた。特に飲食店は、過去最高の倒産ペースとも報じられるほどに厳しい一年を過ごしたようだ。そんな中で、「早い・安い・うまい」を掲げる立ち食いそば屋はどうだったのだろうか。 【画像】デカすぎる! これでたった230円のジャンボゲソ天
日暮里駅の行列ができる店
東京、山手線の日暮里駅から歩いて4分ほど、にぎやかな駅前から少し離れたところにある立ち食いそば屋「一由そば」。 年始と夏季休暇をのぞき、24時間無休で営業しているこの店は、“日本一の立ち食いそば屋”との呼び声も高い。12月中旬の平日、12時ごろに行くとすでに長蛇の列ができていた。 列に並んでいるのはランチで来たと思われるスーツ姿の大人から、外国人観光客らしき人まで多種多様。何人かに話を聞いてみると、驚いたことに、そのほとんどから「ここに来るのは初めてです」との返事が返ってきた。 一由そばは以前から有名店であったが、今年4月にフジテレビ系にて放送されたドキュメンタリー番組『東京ゲソ天ブルース』で特集されたのをきっかけに、さらに多くの人が訪れるようになった。 そんな中で、この日話しかけた中で唯一、何度も店に通っているという男性がいた。50代の会社員で、一由そばに通い始めてもう10年以上経つという。毎月、2、3度は秋葉原駅にある職場からこの店にまで足を運ぶ。 「実は私、お昼はあまり食べないんです。でも、ここのゲソ天が本当においしくて、出汁のしょっぱさもいい。わざわざ事務所を通り越してここにまで来ています」とその理由を明かした。 一由そばの看板メニューである「ゲソ天」は、来店したほとんどの客が注文している。筆者自身、何度か一由そばに行っているが、豊富な種類の天ぷらを見て悩んだ末に、やっぱりゲソ天を注文してしまう。 この日はランチタイムということもあり、並び始めてから30分ほどして、ようやくそばにありつけた。お昼休みが1時間ほどの会社員にとって、列に並ぶだけで貴重なその半分を消費してしまうのは死活問題だが、それでもあまりあるほどの魅力が一由そばにはある。