テロ対策、薬局も水際対応 化学薬品、販売に「ノー」 三重・松阪署などと訓練
パートナーシップ取り組み 爆発物の原料になる恐れ
三重県警松阪署(西條一人署長)と三重県松阪地区薬剤師会(岩瀬晃子会長)、殿町のセンター薬局市民病院前店は19日午後4時から、「テロ対策松阪・多気・明和パートナーシップ」の取り組みとして、本年度のモデル事業所の同店で、爆発物の原料となり得る化学薬品の販売に関するテロ対策訓練を行った。同店の局員らは不審者への対応について知識を深めた。
不審者の情報、聞き出す
同署管内の官公庁とライフライン、交通関連会社などでつくる「テロ対策松阪・多気・明和パートナーシップ」は官民一体のテロ対策の一つとして全国的に推進している取り組み。県では2016(平成28)年のG7伊勢志摩サミットをきっかけに、同1月に東京、北海道に次いで全国で3番目に設立された。 この日の訓練には、署員5人と同店局員2人などが参加し、爆発物の原料になり得る化学薬品を購入しようとする不審者を想定して実施した。 「過酸化水素と塩酸を買いたい。郵送か配達はできますか」と不審者から電話を受けた局員は「できません。在庫がないので名前と電話番号、職業と住所を教えてください。(薬品が)入り次第電話します」とできるだけ不審者から情報を聞き出すよう努め、その後に警察署に通報。不審者が直接来店した場合も、同様の質問などをした上、車のナンバープレートや車種をメモした。 訓練後、佐波紀嗣警備課長(50)から講評があり、「よく対応できていた」としつつも、「人相はどんな感じでしたか」と問うと、局員からは戸惑う姿が見られ、今後の課題とした。 同薬剤師会の岩瀬会長(52)は「訓練できたのは有意義だった。電話の対応など落ち着いてできるように意識したい。地域の薬局が情報を共有して、テロ対策に貢献していきたい」とし、佐波課長は「意識を高めてテロを許さない社会、地域づくりにつなげていきたい」とそれぞれ話した。