「東京一極集中を放置していいと言う人は、日本の人口が減り続けてもかまわないと言うのと同じ」 島根県知事が問題提起「地方の人口の取り合いに意味はない」
有識者グループ「人口戦略会議」が発表した分析結果が物議を醸している。「2050年までに744の自治体が消滅する可能性がある」。全国の自治体の約4割にあたり、日光や函館、秩父、箱根など、観光客でにぎわう街も消滅の可能性があるという。 【映像】「人口増やさなくていい、なんて言う人と議論できない」 語気を強める島根県知事 そんな中、注目されているのが島根県だ。前回2014年の発表では、16の自治体に消滅可能性が指摘されていたが、今回は4自治体にとどまった。丸山達也知事は、元々の出生率の高さに加え、市町村との協力で子育てサポートを強化したと強調する一方、消滅可能性を市町村単位で分析することはナンセンスだと怒りをにじませた。 「日本全体の問題を自治体の問題であるかのようにすり替えるのが、根本的に間違えている。3大都市圏、東京に人が集中していく構造を放置している日本全体の政策、経済界も含めて引き起こしている現象だ」と語る丸山知事と、都市部への一極集中の是非を『ABEMA Prime』で考えた。
■「地方側が努力をしても、東京の吸引力のほうが強い」
丸山知事は「人口戦略を提言する会議であれば、全国的に出生率低下の歯止めがかからず、人口が減り続けていく構造を正面から捉えるべきだ」との立場を取っている。「市町村に○×を付けるのは、問題提起としては上手だが、マクロな視点で『日本全体の人口をどうしていくのか』と捉えるべき」。その上で、東京一極集中には「東京が地方の人口を吸引する力が強く、そこに手を付けないといけない。『地方が頑張れ』には限界がある」と批判的だ。 出生率を上げて子育て環境を整備しても、「大学」と「企業」が都市に集中しているため、ゆくゆくは人口が流出してしまうというのが丸山知事の主張だ。2022年の出生率は、島根が4位(1.57)なのに対し、大阪が37位(1.22)、東京が47位(1.04)。東京に大企業の本社が集中し、大きな経済主体が最適だと思っている選択の積み重ねが、日本社会としては最悪の事態を招いていると指摘する。