俺たち関係ないだろ?…年金月33万円・72歳おしどり夫婦を戦慄させた一通の督促状。元凶は、36歳“出戻り息子”宛てに年金機構から届いた「赤い封筒」【CFPの助言】
「財産の差し押さえ」までには、いくつかの段階がある
家に帰ると、青ざめた表情のCさんが待っていました。「本当にごめん、実は……」。Cさんは重い口を開き、Aさんに事の顛末を話し始めました。Aさんにはいきなり「督促状」が届いたように思われましたが、すでにCさんのもとには、日本年金機構からの書面が何度も送られていたようです。 1.紫色の「国民年金保険料のお知らせ」 Cさんに最初に届いたのは、「国民年金保険料のお知らせ」と記された圧着ハガキでした。このハガキは、開封すると「国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)」と記載されており、これまでの国民年金保険料の未納月数と未納額が印字されています。 しかし、このハガキを受け取ったCさんは(国民年金って、ちゃんと納めても老後少ししかもらえない※って聞いたことがある。どうせこれだけじゃ暮らせないし、本業も株式投資も順調だし、別に納めなくてもいいだろ)と思い、放置したそうです。 ※ 令和6年度の国民年金保険料は月1万6,980円。20歳から60歳まで毎月保険料を納めた場合、老齢基礎年金の受給額は満額で月6万8,000円。 その後もたびたび、Cさんのもとには同じ色の催告状が届きました。未納額は30万円弱と、Cさんほどの稼ぎがあれば納付できない金額ではありません。しかし、「納付するか」と考えたときに限って手元に納付書が見つからず、また自身の事業の忙しさもあり、時間だけが過ぎていきました。 2.青→黄→赤(ピンク)の「特別催告状」 すると今度届いたのは、未納の国民年金保険料を納付する指定日まで記された「特別催告状」。封筒の色は1度目は青でしたが、次に黄色、そして赤(ピンク)に変わりました。この赤(ピンク)色の特別催告状を「最終催告状」といいます。 3.赤色の「督促状」 Cさんはしかし、最終催告状が届いてもなお、未納の保険料を納付しませんでした。そしてついに、「督促状」がCさんだけでなく、世帯主のAさんのもとにも届いたというわけです。 Aさんに連れられ、Cさんは年金事務所へ こうして、A夫妻に事の顛末をすべて話したCさんは、2人に急かされるように年金事務所へ。未納分を納めるとともに、保険料を口座振替で納付する手続きを行いました。 厚生労働省「日本年金機構の令和5年度業務実績の評価」によると、強制徴収は「控除後所得300万円以上かつ7月以上保険料を滞納している方」を対象に確実に実施されており、差押実施件数は3.1万件となっています。 督促状が届いてもなお未納を続け放置していると、「差押予告通知書」が届きます。今回はこれが届く前に支払いを済ませたため、すんでのところでA家は財産の差し押さえを免れたということになります。