準々決勝 智弁和歌山、あと一本 県勢敗退、頂上決戦ならず /和歌山
<センバツ2019> 第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)は31日、準々決勝に県勢2校が登場した。市和歌山は、中盤以降粘りを見せる習志野(千葉)にかわされ3-4で敗れ、準優勝した1965年以来の4強入りはならなかった。智弁和歌山は中盤に追いついたものの明石商(兵庫)に3-4でサヨナラ負けし、昨春に続いての4強入りは逃した。しかし、県勢は1938年第15回大会以来81年ぶりに2校そろってベスト8に進み、野球王国としての存在感を改めてアピールした。 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 ▽準々決勝 智弁和歌山 100020000=3 210000001=4 明石商 智弁和歌山は再三、好機を作ったがあと一本が出なかった。 一回、3四球で得た2死満塁から押し出し四球で先制。五回、黒川史陽(ふみや)主将の左中間適時打などで2点を返し、同点とした。 投手陣は2年生2人が力投。池田泰騎(たいき)投手が先発し、三回から継投した小林樹斗(たつと)投手は要所を締める投球を見せたが、九回にサヨナラ本塁打を浴びた。 打線は終盤にかけて何度も得点圏に走者を進めたが攻めきれず、計12残塁が響いた。 ◇同点犠飛にも納得せず 智弁和歌山・根来塁(るい)選手(3年) 1点を追う五回無死一、三塁の好機で根来塁選手(3年)に打席が回ってきた。「絶対に走者を還す」と強い気持ちで打席に立ち、体勢を崩されながらも2球目を右手一本で右翼へ運んだ。犠飛となり三塁走者の黒川史陽主将(3年)を還して同点に追いついた。「犠飛ではなく、後ろにつなぐ打撃をしなければならない場面だったので納得していない」と振り返った。 昨年のセンバツでは準決勝までの4試合でいずれもスタメン出場。しかし、打率2割と振るわず、決勝ではスタメンを外されて悔しさを募らせた。 「しっかり準備して甲子園に臨みたい」。昨年夏に新チームになってからは下半身の使い方に重点を置き、打球の鋭さにこだわった。昨年秋の公式戦で打率5割をマークし、クリーンアップとして活躍した。 しかし、1月の自主練習で腰を故障し、激しい動きができなくなった。「焦りもあったが、けがを悪化させるのはよくない」と、練習を早めに切り上げるなど体のケアに気を遣い、本番に間に合わせた。センバツでは1、2回戦合わせて8打数5安打と活躍した。 しかし、明石商には、大敗した昨年秋の近畿大会に続き、この日も苦杯をなめさせられた。「甲子園で明石商を倒す。技術とメンタルをレベルアップさせ、また夏に戻ってきたい」と前を向いた。【砂押健太】 ◇9人最後の応援 ○…赤と白に染まった三塁側アルプスでは、チアリーダー22人がオレンジ色のポンポンをくるくると回しながら、笑顔で声援を送り続けた=写真。常設のチア部はないため、野球部が大会に出場する度に有志が集まっている。今回もセンバツ開幕の約3週間前から、毎日2時間にわたってパフォーマンスの練習を重ねてきた。学校の伝統に従い、3年生9人が参加できるのは今大会までとなる。最後の応援となったリーダーの武田百花さん(3年)は試合後、「野球部に感謝の気持ちでいっぱいです」と話し、目を潤ませた。