センバツ甲子園 大崎惜敗、初勝利お預け 島の応援団「ナイスゲーム」 /長崎
第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)第3日の22日、県勢の大崎は福大大濠(福岡)との息詰まる投手戦の末、1―2で惜敗した。甲子園での初勝利はならなかったが、地元・大島(西海市)などから応援に駆けつけた住民や保護者らは、最後まで全力を尽くしたナインに「ナイスゲームだった」と暖かい拍手を送った。【中山敦貴、熊谷佐和子、皆川真仁、隈元悠太】 くしくも昨秋の九州大会決勝と同じカードとなったセンバツ初戦。大崎の三塁側アルプスがこの日一番の盛り上がりを見せたのは、七回だった。 2点を追う大崎は七回、4番の調祐李(3年)、5番の田栗慶太郎(2年)の連打で2死一、二塁の好機を作り、坂本安司(3年)が打席へ。バットを短く持って直球をジャストミートすると打球は中前に抜け、調が生還して1点を返した。仕事を休んで応援に駆けつけた調の母由美子さん(51)は「得点に貢献できてほっとした」と、興奮した様子でメガホンをたたいた。 先発した右腕エースの坂本は序盤から制球が定まらず、「カットボールを狙われてしまった」。二回に失策と四球で出した走者を適時打で還され、2点の先取を許した。しかし続くピンチで中堅手の池田晃弥(3年)が大飛球を好捕して後続を断つと、その後は再三得点圏に走者を進められながらも要所を締めた。 一方の打線は、福大大濠の好左腕、毛利海大(かいと)(3年)の低めのチェンジアップや高めの直球に終始翻弄(ほんろう)された。冬場から毛利を想定した厳しい打撃練習を積んできたが、三者連続三振を二度も喫するなど打線が沈黙。それでも後半は「球を上からたたく」(調)意識を徹底し、七回に一矢報いた。 昨秋の九州大会で無失策だった守備はこの日だけで2失策。攻撃面では七回に一打同点の好機で二塁走者がけん制死するなど、攻守で課題も浮き彫りになった。試合後、清水監督は「選手たちは甲子園の厳しさを理解してくれたと思う。この敗戦を将来の大崎に生かさなければいけない」と厳しい表情で語った。 アルプスでは今春卒業したばかりの前主将、坂口航大さん(18)ら野球部OBもスタンドで見守った。主将の秋山章一郎(3年)は「勝利を届けられず残念。夏にまたここに戻ってきて、白星で恩返ししたい」とリベンジを誓い、甲子園を後にした。 ◇校歌流れ感激 ○…三塁側アルプスには大島の住民もはるばる応援に駆けつけた。妻と訪れた野球部OBの沢田馨さん(65)=写真=は、昨秋の九州大会も毎試合球場で声援を送り、大崎のセンバツ出場が決まった時は感激で涙したという。二回の大崎の攻撃前に校歌が流れると、「甲子園で校歌が流れるなんて夢にも思わなかった」と感激した様子。新型コロナウイルス対策で声は出さず、歌に合わせて握りこぶしを上下に振り、母校の躍進を喜んだ。 ……………………………………………………………………………………………………… ▽1回戦 福大大濠(福岡) 020000000=2 000000100=1 大崎 〔長崎版〕