農高生が冷凍チキンカツ開発 余りがちな胸肉、下味付きで簡単調理 販路開拓へ 養父
但馬農業高校(兵庫県養父市八鹿町高柳)総合畜産科の生徒が、校内で育てた鶏の肉を使った冷凍食品「但農どりチキンカツ」を開発した。在庫を抱えがちだった胸肉を使い、新たな販路開拓に挑戦。一口サイズで食べやすく、自宅でも簡単に調理できるようにした。学校を通じて市販もする。(吉田みなみ) 【写真】但農どりの冷凍チキンカツ 但馬地域は、食用若鶏ブロイラー生産の国内発祥の地。同校ではブロイラーを年間約1万2千羽育てており、そのうち広い鶏舎で無薬飼料を使い、約80日育てた雌約千羽を「但農どり」として商品化し、2001年から部位ごとに販売している。校内で育てた農産物などを販売する「但農祭」では、住民が行列をつくるほどの人気ぶりだ。 しかし、ももや手羽先などはすぐ売り切れる一方、水分が少なく調理が難しい胸肉は需要が少なく、年間50~60キロが在庫に。イベントや校内で販売したり、提携するホテルなどに卸したりしていたが、活用方法に苦心していた。 特産品を使った商品開発などを行う養父市の全額出資会社「やぶパートナーズ」(同町八鹿)は、在庫を抱えている話を聞き、生徒らと共同で新商品を開発することを提案した。参加したのは、総合畜産科で鶏肉を研究する3年生の5人。約半年かけて、開発する商品内容やレシピの考案、原価計算なども行った。 「但農どりチキンカツ」は、冷凍の半加工品。鶏肉を一口サイズに切って食べやすさを考慮し、しょうゆやニンニク、ショウガなどで下味を付けて調理の手間も減らし、イベントなどでも販売しやすくした。イメージキャラクターも制作し、PRにも力を入れた。1キロ1800円。 9日の但農祭で初めて販売した。当日は1カップ300円で売り、その後は売れ行きや評価を確認しながら改良を重ねる。すでにサービスエリア(SA)の露店で販売を検討する業者もいるという。同科の北山湧斗さん(18)は「肉をつけ置いたり、揚げ順などを考えたりしてこだわった一品。そのままでもおいしいが、マヨネーズを付けるのもお勧め」といい、「一度食べてみて、交流サイト(SNS)などで拡散してほしい」と話した。