新興国で豊かに暮らす極意を、月5万円でエジプト生活を満喫するオカリナ講師・ジャスティンさんが伝授!「日本の常識を捨て去り、現地に溶け込むこと」が大切
物価の安い新興国で暮らし、日本にいるときよりも豊かな生活を満喫するオカリナ講師・ジャスティンさんのインタビューを公開! 【写真】ジャスティンさんのエジプトでの住まい ●28歳から海外暮らしを開始し、13年間新興国で生活! 物価の安いエジプトでは、月5万円の収入でも十分生活できる! ──海外生活が長いそうですね。 ジャスティン 28歳で上海に渡ったのが最初です。その後、中国の新疆ウイグル自治区、トルコと渡り歩き、9年ほど前からエジプトに住んでいます。トータルすると、かれこれ13年ぐらいになりますね。 ──海外で暮らそうと思ったきっかけって何ですか? ジャスティン 最初は海外で暮らすなんて、絶対無理だと思っていたんです。外国語も全然わからなかったですから。でも、上海に住む友だちから「一度遊びに来れば? 」と誘われたので、試しに行ってみたんです。現地に行ってみると「何とか暮らせるかも」と感じました。中国は漢字の国ですし、文化も何となく似ていますので。 ──とはいえ、実際に住んでみるとけっこう苦労もあったそうですが。 ジャスティン やっぱり言葉ですね。数カ月ほど中国語を勉強してから行ったのですが、相手が何を言ってるのかわからないですし、こちらが話すことも理解してもらえなかったんです。でも、相手の言葉をマネながら喋っているうちに、少しずつコミュニケーションが取れるようになり、1年もすると生活に困らない程度には話せるようになっていました。 ウイグル語と英語も同じように叩き上げで身に付けました。現地の人と交わって生活すれば、早く喋れるようになるものなんです。 ──現地に溶け込むのがポイントなんですね。 ジャスティン それが、生活を安上がりにする秘訣でもあります。海外で暮らしても、外国人が住むエリアで、外国人と同じような生活をしていたら、どうしてもおカネがかかってしまいます。 現地の人が住むエリアで部屋を借り、なるべく自炊をすれば、かなり安上がりに生活できるんです。実際、僕はいま月収5万円ぐらいですが、2LDKのそこそこ大きなマンションに住み、1日1杯はスタバのコーヒーだって飲めるぐらいの生活をエンジョイしています。 ──へぇーっ。月収5万円でも2LDKに住めるんですか? ジャスティン 何しろエジプトは、日本と比べてかなり物価が安いですからね。1カ月の支出は、マンションの家賃がたったの1万5000円、食費は2万5000円、通信費と光熱費は3000円ぐらい。2LDKに住んで、スマホの料金を払っても月5万円でお釣りがきちゃうんですよ。 食べ物は、トマトやキュウリが1キロ30円ぐらいで買えるので、自炊すれば1食数十円で済むし、外食しても、せいぜい1食200円ぐらい。日本では極貧に近い生活でしたが、エジプトに住むようになって生活は一変しました。 節約したいなら、海外に住むのがイチバンだと思いますよ。もちろん、物価の高い先進国は別ですけどね。 ●競争の激しい中国語講師からオカリナ講師に転身! 月5万円を稼げる必要最低限の仕事だけして、自分の時間を確保! ──エジプトはイスラム圏ですよね。物価が安い反面、治安が悪いイメージがあります。 ジャスティン イスラム圏といえば、戦争やテロの報道ばかりなので、何となく怖いイメージを持たれがちですが、実際にはそれほどではありません。むしろ、戒律で飲酒が禁じられているので、夜歩いていても酔っ払いにからまれたりする心配がなく安全です。 同じイスラム圏の新疆ウイグル自治区やトルコも、治安に関してはまったく不安を感じなかったですね。 ──月収は5万円ということですが、エジプトではどんなお仕事をしているんですか? ジャスティン オンラインで日本人にオカリナを教えています。2、3人の生徒に週1回ずつレッスンを行っている感じですね。1回あたりのレッスン料が1時間6000円。生徒さんが2人だと週1万2000円です。 ──なるほど、月にすると4万8000円。だいたい5万円ですね。 ジャスティン 5万円で暮らしていけるので、生徒さんは3人までに抑えています。働く時間はなるべく減らし、自分の時間をなるべく確保したいので。要するに、必要以上に働きたくないんです(笑)。生きていけるだけの収入があればそれで十分ですし、仕事だけに時間を奪われるのでは、せっかくの人生がもったいないと思っているものですから。 ──オカリナ講師になったきっかけは何だったのですか? ジャスティン 海外生活を始めてからオンラインで仕事をするようになり、最初は中国語の先生をやりました。ところが、オンラインの中国語講師って、世の中にたくさんいるので、価格競争がとても激しいんですね。 僕は1時間15米ドル(当時約1700円)で教えていたんですが、なかには1時間5米ドル、3米ドルという講師もいて、とてもかなわない。しかも、1回1700円ほどでは、月5万円を稼ぐのに約30回教えなければなりません。あまり働きたくない僕にとっては過酷な労働条件だったので、もっと割のいい仕事はないかとあれこれ探し、たどり着いたのがオカリナ講師だったんです。 老後の楽しみとしてオカリナを習いたい人が増えているけれど、教える人が少ないという話を聞いたのがきっかけです。これなら価格競争に巻き込まれることなく、安定的に稼げるんじゃないかと。幸い、僕は中学生のころからオカリナをやっていたので、その経験を生かせるかもしれないと思いましたね。 ──ニッチな商売を探り当てることに成功したわけですね。 ジャスティン おかげで、中国語の講師をやっていたときに比べて労働時間は半分になりました。もし、中国語講師時代と同じ時間働けば、月10万円は稼げるわけですが、5万円あれば十分なので、これ以上は働きません(笑)。 ●海外生活を経て必要なモノだけにしかおカネをかけないように! 現地の人の生き様をリスペクトすることが大切! ──海外生活をするようになって、おカネの使い方もずいぶん変わったそうですね。 ジャスティン とにかく、不要なモノは一切買わなくなりました。日本にいたころは、モノの情報があふれていたので、必要ないモノを必要だと思って買っていました……。中国からトルコ、エジプトと渡り歩き、年に1、2回は日本にも帰っているので、とにかく荷物を減らしたいと思ったのが、モノを買わなくなったきっかけです。 まずは「いらないモノ」をどんどん捨てました。ネクタイなんて、もらいものを含めると50本ぐらい持っていたんです。でも、友だちから「首は1本しかないんだから」と言われ、「それもそうだな」と思って数本を残して、捨てました。 あとは、電子機器用のケーブル。無駄にゴチャゴチャ持っていたけど、数本あれば十分です。とにかくいらないと思ったものは、片っ端から処分しました。 ──断捨離ですね。 ジャスティン モノが減ると、「何を持っているのか? 」が把握しやすくなるので、無駄に買うこともなくなり、結果的に支出を減らせるんですよね。せっかく減らしたモノを増やしたくないので、余計な買い物もしなくなりました。昔はブランドものの洋服が好きだったけど、上海に行ったらニセモノしか売っていないので、「ブランド品など何の意味もない」と思ってしまって(笑)。いまでは安価な洋服で十分満足しています。 ですが、逆に絶対に必要なものにはおカネをかけるようになりました。仕事に欠かせないパソコンやマイク、靴なんかはそうです。靴は、1足1万円ぐらいのを履いています。月収5万円の身の丈には合わないと思うかもしれませんが、いい靴なら2、3年は持つので、むしろ長い目で見ると安上がりですよ。 ──かといって極貧生活ではなく、十分優雅な暮らしを楽しんでいるのがスゴイですね。 ジャスティン それも、物価が安いエジプトだからこそです。たまに旅行に行ったりもするのですが、紅海(エジプト東海岸)のリゾート地に行っても、1泊4000~5000円ぐらいで豪華なホテルに泊まれますからね。 ただし、日本で円安が進んでいる以上に、エジプトでは急激な通貨安が進行しています。だから、安いとはいっても、ここ数年でかなり物価は上がってきています。あるときなどは、メトロ(地下鉄)の運賃が一夜にして7倍も値上がりました。 ──そんなに値上がりして、現地の人々は大丈夫なんでしょうか? ジャスティン まぁ、物価が上がっても、死ぬことはありません(笑)。生活は苦しくなるかもしれないですが、工夫をすれば、どうにか生きてはいけます。アフリカ大陸の人々の生き様を見ていると、「僕もきっと大丈夫だ。何とかなる」と思うようになりました。 海外で暮らしていくために大切なのは、「日本の常識」を捨て去ることでしょう。現地の人たちの生き様をリスペクトして、同じように生きれば、結果的に現地の相場で安く暮らせるようになります。しかも仲間ができるので、だまされたり、ぼったくられたりしないように助けてくれます。これが“ジャスティン流”海外生活の極意です。
ザイ編集部
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