ブルガリ ホテルにも採用。日本に初上陸のスキンケア「アウグスティヌス・バーダー」がスゴイ
謎の有閑マダム、カトリーヌ10世さんが、日本の迷える男性諸氏を洗練へと導く連載。今回のテーマは……。 カトリーヌ10世の「男たちよ目覚めなさい」
世界のラグジュアリー人脈に通じ、社交界の裏事情にも詳しい謎の有閑マダム、カトリーヌ10世さんが、日本の男性諸氏が陥っている、ファッションと恋愛の無自覚・無意識の怠慢に覚醒を促し、読者を洗練へと導く連載です。今回のテーマは……。
■ 「幹細胞よ目覚めなさい」
「不適切にもほどがある!」というドラマがあります。約40年前の昭和時代と2024年の日本を行き来する男をめぐるクドカン脚本の社会風刺コメディです。昭和の各種ハラスメントと対比させながら、コンプライアンスに対する配慮が過剰になった現状を皮肉たっぷりに描きます。 「俺たちフィギュアスケーター」の「俺たち」がNGになるのであれば、本連載タイトルの「男たちよ」も却下ということになりますね。というわけで今回はクドカンに敬意を表し、ジェンダーを問わず、人間か動物かも問わないレベルまでコンプラに配慮した(?)テーマです。「幹細胞よ、目覚めなさい」
真面目な話、ブルガリ ホテルに採用され日本に初上陸したスキンケア、「アウグスティヌス・バーダー」のコンセプトがまさにコレなのです。 このブランドは幹細胞と再生医療の分野での第一人者、アウグスティヌス・バーダー教授の知見に基づくスキンケアですが、教授は研究の結果、ひとつのシンプルな真理にいきつきました。それは、「カラダがもっともよく知っている」。つまり、人間の幹細胞は自身を修復させる力をもっている。ただし、眠れる幹細胞を覚醒させるため、ここに正しいシグナルを送る必要がある、と。「幹細胞よ、目覚めなさい」というシグナルこそ、教授が特許を獲得したトリガー・ファクター・コンプレックス8(TFC8)です。
TFC8はペニシリン級の発見で、教授は治療薬としてあらゆる製薬会社に持ち込みますが、「お金にならない」と断られるのです。結果、美容の分野でのブランド創設となりました。利益は教授が研究を継続するための支援資金に回ります。研究を支援しつつ最先端科学の成果を享受できるとあれば、ブラッド・ピットが投資するのも納得です。 利益第一の資本主義が行きすぎた世界にもクドカンに突っ込みを入れてほしいところですが、おかげで幹細胞覚醒コスメに出合えたと思うとやや複雑。コンプラも資本主義も、その二面性とどう付き合うかにセンスが問われていきますね。
● カトリーヌ10世
グローバル化が進む社交界事情にも通じる。密かな趣味は人間観察とコスプレ。好きな飲み物はモンラッシェ。日本ではほとんど知られていない、ある小国の女王とのウワサも!? 2024年5月号より
文/カトリーヌ10世 イラスト/ユリコフ・カワヒロ