「甘じょっぱさとミルク感、そして…」47年間売れ続けている人気のお煎餅「雪の宿」が大切にしていること
雪の宿のメイン消費者はシニアという課題
雪の宿のメイン消費者はミドルからシニア世代です。いくら美味しいお煎餅であっても、若い世代がお煎餅を手に取る機会は、シニア世代と比べると少なくなってしまいます。雪の宿も、いかに若い世代に食べてもらうのかが課題となっています。若者を取り込む戦略としては、先ほどのフレーバー展開の他、販路の拡大も行っています。 スーパーやドラッグストアなどのリアルな店舗はもちろんですが、オンラインストアなどのウェブでの販売も拡大しています。食べたいと思った時に、その場で検索をして商品を探す、そして購入するという流れを作ることで若い世代へのアプローチをしていきます。 また他の専門店とのコラボによって「雪の宿」を知ってもらう企画も。上野かき氷専門店「四代目大野屋氷室」で、500食限定で「雪の宿」コラボのかき氷が販売されました。さらに雪の宿をカプセルトイにするという遊び心のある取り組みも。 参考:ロングセラー「雪の宿」をかき氷で味わう特別な体験。上野かき氷専門店「四代目大野屋氷室」で数量・期間限定販売 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000049944.html 参考:ロングセラーおせんべい「雪の宿」がカプセルトイになって登場! https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000049944.html キャンペーンにも力を入れて、商品を知ってもらう機会を増やしています。雪の宿は一度食べればその味わいに納得する人も少なくありません。まずは最初の1回目の機会を作ること。そして若い人でも雪の宿を買う習慣をつけてもらうための戦略が練られています。
雪の宿は40年以上のロングセラー。そこまで愛されるのは?
雪の宿は1977年に発売され、2024年で47年を迎えました。発売当初、お煎餅といえば醤油煎餅が中心、甘いお煎餅はざらめを使ったお煎餅が主流でした。油分の多いサラダ煎餅にクリーム蜜をつけるのは技術的にも難しかったからです。 でも、どうにか新しい味わいを作りたいと、当時の開発担当者が地元新潟の老舗ケーキ屋さんで修行をして、お煎餅と生クリームを組み合わせられるようなレシピや技術を研究しました。その結果、今に残る甘じょっぱさとミルクのコク、そしてお米そのものの美味しさを味わうことができるようになったのです。当時から唯一無二の味として受け入れられたからこそ、今の雪の宿があります。 とはいえ、その味わいがずっと同じかというと違います。特徴的な味わいを変えることはありませんが、消費者が気づかないところで少しずつ変化させています。例えば塩味を微妙に変えたり。また甘さと塩味のバランスは変わらないとしても、口の中に入れた時の感じ方を変えることもあるそう。 食べた時にどのタイミングで塩味が口の中で広がるのかなど、本当に細かい部分を変えることで、消費者の心を掴んでいるのでしょう。そのような変化はパッケージに書かれることはないので、食べている消費者の多くは気づかないと思います。筆者もその変化に気づいたことはありません。気づかれないような変化だからこそ、自然に受け入れられ、つい手に取ってしまうお菓子になっているのではないでしょうか。 変化を大々的に謳うことで興味を持ってもらえることもありますが、変化に抵抗を感じる人もいるのは事実。これまで馴染みのある味を大切にしている人や、雪の宿の魅力を知っている人にとっては、劇的な変化は不要なのかもしれません。
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