福岡県八女市長選挙で初当選、元経産省職員の簑原悠太朗氏「市民目線のしがらみのない政治を実現したい」
福岡県八女市長選が10日、投開票され、無所属新人で元経済産業省職員の簑原悠太朗氏(34)が、無所属新人で前副市長の松尾一秋氏(64)(自民推薦)を破り、初当選した。九州・沖縄で最年少の市長となる。任期は16日から4年間。投票率は55・66%で、過去最低だった前回(58・59%)を下回った。 【写真】日置市の永山市長
同市本町の簑原氏の事務所では10日夜、「当選」の一報が伝わると、支持者らから「おめでとう」と歓声が上がり、大きな拍手に包まれた。簑原氏は「選挙期間中、八女を変えてほしいという声を多く聞いた。市民目線のしがらみのない政治を実現したい」と決意を述べた。
簑原氏は同県大野城市出身。父親の転勤や山村留学で幼少期の4年間を旧星野村(現八女市星野村)で過ごした。北海道大獣医学部を卒業後、経産省に入り、脱炭素・地球温暖化対策などに携わったほか、オランダの大学院に留学して農業政策を学んだ。「幼少期に自分を育ててくれた八女に恩返ししたい」と6月に同省を辞め、八女市長選への立候補を表明した。
市長選は、4期16年務め、引退を表明した三田村統之市長(80)の市政の継承か刷新かが大きな争点となった。簑原氏は「変革」を掲げ、組織に頼らない草の根の活動を展開。「今回が八女が変わる最後のチャンス。将来に希望が持てるまちをつくっていこう」と訴え、農産品のブランド化と輸出の拡大、支所への「移動市長室」開設、デジタル技術を活用した教育の質向上などを公約に掲げて支持を広げた。
一方、三田村市長から後継指名を受けた松尾氏は、自民党や各種団体の支援で組織戦を繰り広げたが、及ばなかった。10日夜、同市津江の事務所で報道陣の取材に「活動の出遅れが響いた。見えない相手と戦っている感じがした」と述べた。
九州市長会によると、九州・沖縄の最年少市長は現在、鹿児島県日置市長の永山由高氏(41)となっている。
▽当日有権者数 4万9987人▽投票者数 2万7822人