クマが侵入し、捕獲されたスーパー周辺

　秋田市土崎港西のスーパー「いとく土崎みなと店」に侵入したクマは発生から３日目の２日、ようやく捕獲、搬出された。店内で男性従業員（４７）が襲われてから約５５時間が経過していた。県都の市街地のスーパーにクマが居座るという前代未聞の事態は収束したが、周辺からは安堵（あんど）と不安が交錯する声が聞かれた。 【図】一目でわかる…クマを捕獲した時の店内の状況

クマが入った箱わなを搬出する軽トラック（２日午後、秋田市で）

　秋田臨港署などによると、２日は箱わなのセンサーが作動したことを受け、同署員が店に入り、売り場とバックヤードの出入り口に置いたわなに掛かっていたクマ（雌、体長約１メートル）を確認。クマは１１月３０日午前６時２０分頃、男性を襲ったが、どこから侵入したかは分かっていないという。

　店から約６００メートル東の土崎小では２日、保護者に登下校の送迎を求め、下校時刻を早めるなどの対応を取った。長野純教頭は取材に、「捕獲されてまずは安心。地理的にクマが出ることはないと捉えていたが、今後は気を付けないといけない」と話した。

　店舗の周辺では、クマの捕獲に安心する声と、今後も出没するのではないかという不安の声が交錯した。

　仕事場が近く、定期的に店を利用するという同市将軍野地区の男性会社員（３８）は、「自宅の近くでも目撃があったので今回の件も気になっていた。捕まって安心した」と話した。

　店舗近くの保育園「秋田みなと園」は、２日は通常通り開園したが、クマへの不安から欠席した園児もいたという。高橋絢子園長は「捕まって安心したが、まだ目撃情報がある。他の個体もいるかもしれず心配だ」と不安を口にした。

　店舗は１１月３０日から臨時休業しており、運営する「伊徳」（大館市）は２日、公式サイトで、「営業再開の日程が決まり次第、改めてお知らせいたします」との臨時休業のお知らせを掲載した。

　店舗が位置する秋田市土崎地区や近くの飯島地区では、１１月２２日からクマの出没が増加していた。店舗にクマが侵入する前日の１１月２９日午後９時頃には、店舗近くの「土崎みなと歴史伝承館」の防犯カメラに、駐車場を走るクマ１頭が映っていた。

　同館の辻直文事務長は「防犯カメラを確認したら敷地内の駐車場を走っていてびっくり。市内のどこでも起きうることだと思う。安全確保を第一に、今後目撃などがあった際の対応を考えたい」と話していた。