「賄賂でも貰ったのか」中国人“10年ビザ新設”で揺れる日本社会! 富裕層への門戸開放、地方経済に好影響を与えられるか?
日中関係におけるビザ発給政策の影響
では、今回のビザ緩和策は日中関係にどのような影響を与えるだろうか。 現在、中国と相互ビザ免除協定を結んでいる国は世界で157か国に達しており、相互免除協定を結んでいない国の方が少数派だ。新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限が緩和された後、中国は日本人が中国に渡航する際のビザ免除再開を求めていたが、日本側がこれに対して慎重な姿勢を見せたため、日中間の交流が停滞することが問題となっていた。 しかし、2024年に入り、中国は長期のマルチビザ発給を求める要求を緩和し、ブラジルやオーストラリアといった国々と5年や10年のマルチビザを発行することで合意に達した。今回の日本政府との合意も、この流れを受けたものだ。 12月25日に行われた岩屋外相と中国の王毅外交部長との会談では、対話を続け、経済協力やサプライチェーンの安定を通じて相互利益を追求し、相互理解を深めるための働きかけが話し合われた。 つまり、両国は互いにパートナーとして関係を強化し、脅威にならないことを目指していることが確認された。今回のビザ緩和政策は、この両国間の認識を裏付けるものだといえる。
観光ビザ新設を巡る社会的議論
日中両国は歩み寄りの姿勢を強調しているが、それぞれの国内には反発の声もある。日本国内のSNSでは、岩屋外相に対して 「中国から賄賂でも貰ったのか」 「オーバーツーリズムがさらに深刻化し、治安も悪化する」 といった懸念が相次いでいる。中国でも、 「日本人と混ざってもなんの得にもならない」 「まただよ、最近の国内は日本文化が中国文化を押しのけてる感じが強すぎる」 といった反発の意見が見られる。 つまり、富裕層をターゲットにしたビザ政策が、庶民感情や社会の分断を引き起こしているのだ。
他国における類似措置と比較
しかし、このようなビザ緩和政策は、多くの国ですでに実施されている。例えば、アラブ首長国連邦では、200万AED(約55万米ドル)以上の物件を購入するなどすれば、10年間の在留資格を得られる「ゴールデンビザ」が発行される。 今回の日中間のビザ緩和政策は、単に数次ビザ(複数回の入国が許可されるビザ)の期限を延長するもので、滞在期間も限られている。しかし、多くの国では、富裕層が投資を行うことで、資産を持ち込むと「住むことができる」という施策も行われている。 もちろん、各国が導入しているゴールデンビザには問題もある。例えば、スペインでは2024年11月、住宅市場への投機が激化し、資金洗浄の手段として利用されていることから、議会下院で廃止法案が可決された。 こうした問題はあるものの、自国への投資を期待する富裕層に対して、できる限りビザを緩和することは、経済活性化のための手段として認識されている。