ドーピング問題が日本ボディビル界を直撃 ナチュラルを掲げる新たなムーブメントも【プレイバック2024】
ドーピング検査から外国人選手が逃亡
そして、東京開催となった12月の「IFBB世界フィットネス選手権」及び「IFBB男子ワールドカップ」でも、やはりドーピング問題は日本選手団を直撃した。JADA(日本アンチ・ドーピング機構)による厳正なドーピング検査が実施された今大会において、ボディビル85kg以下級を制したアーマド・ルスタム(アラブ首長国連邦)が検査から“逃亡”したと大きな話題となっている。 現時点で事実か否かの確実な情報は不明ながら(※)、同階級でステージに立った木澤大祐や山本俊樹をはじめ何人かの日本代表選手が自身のSNSでその逃亡劇について声を挙げており、また、われわれが撮影したオーバーオール審査の映像を確認すると、審査後に他の選手がステージ上手へとはける中、アーマドのみが下手へと向かう姿が映っている。もし彼が検査を拒否したのであれば当然失格となり、2位の木澤以下の順位が繰り上がることになる。 今季での引退を公表していた木澤は「今大会は順位よりも最後のステージを見ていただきたかった」と、また、これまでパワーリフティング競技でドーピング検査が平等に行なわれなかった現実を経験してきた山本も「この大会に出場する際も、そういう選手が出場するのはわかっていた、こうした事件が起こったとしても驚きはしなかった」と、それぞれ自身のYouTubeで公開した動画内にて冷静に言葉を残している。ただ、特に木澤のラストステージがこういう形になってしまった点について、怒りの感情を持つファンも多いことは想像に難くない。 この件については、正式な発表があった際にあらためて触れたいが、「これを機に、長年提唱してきたアンチドーピングについて皆さんが考えていただけるきかけになったと思う」と木澤が話すように、2025年以降もこの問題は簡単に解決はされず、ボディビル・フィットネス競技が続く限り残っていくものであろう。 少なくとも日本国内においては、こうした“被害”が生まれない競技環境になることを願うと同時に、われわれもこの競技に携わるメディアとして、引き続き考えるきっかけをつくっていきたい。 【追記】 ※記事作成時点(12/31昼頃)で「現時点で事実か否かの確実な情報は不明」とし、19時に記事を公開していましたが、その後に85kg以下級のアーマド・ルスタム選手、90kg以下級 のラッシュド・アルシェミリ選手(共にUAE)の検査拒否による失格が、12/31午後にJBBFより発表されました
文・写真/木村雄大