錦織圭が逆転で全仏一回戦突破もボールボーイが邪魔するアクシデント
全仏オープンの男子シングルス1回戦が現地時間29日に行われ、第8シードで世界ランキング9位の錦織圭(27、日清食品)は、ランク外のタナシ・コキナキス(21、オーストラリア)と対戦。4-6、6-1、6-4、6-4で逆転勝ちし、苦しみながらも新鋭のコキナキスを破った。
この試合にアクシデントが発生していた。 コキナキスの強打に対して、錦織の返球がミスショットになり、高く上がってしまったが、コートの内に入った。しかし、これをコキナキスがスマッシュした。 このプレーの間、錦織の返球があまりにも高く上がったため、ボールボーイがアウトになったものだと勘違いし、プレー中にも関わらず、錦織に次のボールを投げてしまい、そのボールが錦織の足下へ転がってしまったのだ。錦織はすぐさま抗議したが、受け入れられることはなかった。 インドに拠点を置くスポーツニュースサイトである「スポーツカフェ」は、この珍事を取り上げた。記事の見出しは、「錦織はボールボーイによる妨害で冷静さを失ってしまった」というもの。 「錦織圭は、テニス界において最も落ち着いている選手かもしれない。しかし、グランドスラムの大会では、コートでアニメーションのような動きをした。コキナキスとのマッチで、錦織はプレーの中程でボールボーイからボールを投げられて相手にポイントを与えてしまい、当惑させられた」と伝えた。 さらに「21歳のオーストラリア選手がクロスコートにショットを決めた。錦織はそこにいたが、ボールをコントロールできず、空へむかってボールを打ち上げてしまった。そこで、錦織はボールボーイの方へ向かい始めたが、ボールがインであることを知った。錦織は再びディフェンスの体勢へ。しかし、ボールボーイはすでに錦織にボールを投げてしまっていて、そのボールは錦織の足下、ちょうど、相手のスマッシュが落下したあたりに転がってきたのだ。そのため、錦織は審判に対してボールボーイにプレーを妨げられたと抗議したが、審判はこれを受け入れず、オーストラリア選手にポイントを与えた」と、ボールボーイの勘違いによるハプニングの一部始終を説明した。 同サイトでは、この瞬間の動画も掲載している。 ミスショットの直後、自らボールボーイの方向へ歩き始めていた錦織。怒りの表情ではなく、困ったような顔つきで審判に訴えていた。中継の実況も高く上がった返球がコート内に入っていたことに驚き、「これは(錦織に)アンラッキーなプレーでした」と苦笑いしながら説明していた。 記事は「錦織はこの最初のセットを4-6で落としたが、彼はカムバックし、逆転勝ちして、次のラウンドへ駒を進めた」と、逆転勝ちを収めた結果で締めくくった。 またATPの公式ホームページでは、右肩の手術から先週、1年半ぶりに復帰したコキナキスを、錦織が破ったことを報じた。 「錦織はスロースタートだったが、これを克服し、2回戦進出を決めた」と試合をまとめた。 ATPの取材に錦織は、「今日は苦しいマッチだった。第3セット、第4セットからよいプレーができはじめた。しかし、これが最初の試合なので、トーナメントのスタ-トとしては良かったと思う」とコメントを残した。錦織は、手首を痛めて、前哨戦となるマドリード・オープン準々決勝シングルスを棄権したが、これについても錦織は、「マドリードの後、手首はとても良くなってきている。体は再び強さが戻ってきた感じ。痛みが戻ってこないように願っている。炎症が再発する可能性はあるので、しっかりケアして、よい健康状態を保ちたい」と、不安要素でないことを断言していた。 2回戦の相手は、74位のジェレミー・シャルディー(30、フランス)。全豪でも2回戦で対戦して錦織はストレート勝ちしているが、「危険な選手で簡単な試合にはならないと思う」と錦織は警戒心をもっている。