平安の杜正殿脇に初展示 大淀祇園祭の山車 三重・明和町
三世古地区所有の1基 プロジェクションマッピングなどに合わせて
三重県多気郡明和町の観光地域づくりを推進する一般社団法人明和観光商社(千田良仁代表理事)は、いずれも斎宮のさいくう平安の杜(もり)で開かれた3日午後6時からの「国史跡 斎宮跡 平安絵巻 プロジェクションマッピング2024」と、4日午後7時からの「斎宮奉納薪能」に合わせ、大淀地区に伝わる「大淀祇園祭」で使用する山車を引き、復元建物の正殿脇に展示した。 同商社では、持続可能な観光地域づくりを推進し、今ある資源の新たな利活用を通して、町の魅力を国内外へ周知、誘客するためにさまざまな事業を企画している。今回は夜間での同施設の活用を兼ねて、2、3日に町の歴史文化を盛り込んだプロジェクションマッピングを、4日に薪能の上演を企画。2日は雨天中止となった。 さらに、地域の文化継承の担い手不足が心配される中、地区外の物を借用し、当地の物と融合することで新たな価値創造につなげる取り組みとして、初めて大淀祇園祭で使われる山車を会場に展示することになった。 展示されたのは、大淀3地区のうち三世古(みせこ)地区が所有する山車。高さ約6メートル。車輪は直径約1メートルで、樹齢の長い木を輪切りにした大きなものを使用している。
3地区の合同で引く
当日はイレギュラーながら、三世古の山車1基の綱を、山大淀と東区も加えた大淀3地区のメンバー計約100人が力を合わせて引き、音頭を取りながら、さいくう平安の杜の復元道路を引き回した。 2夜にわたり復元建物脇に堂々とした姿で〝鎮座〟した山車は明々とライトアップされた。イベントに訪れた人たちも興味津々の様子で、山車に使われている太い木材や豪華な装飾などに見入っていた。 3地区の支部長を務める辻魁音さん(24)は「2夜の催しの客層が異なるから、より広く大淀祇園祭の山車を認知していただけるのでは」と期待を寄せた。囃子(はやし)方の長を務める辻透弥さん(21)は「これまでとは見せる場所が異なり、とても新鮮な感じを受ける」と話し、幼少期から祇園祭に関わっているという辻澄海(すかい)さん(17)は「夏の迫力ある海上渡御も見に来てもらえれば」など、初めて地区外で引き回した意義を見いだしている様子だった。