ミートボール「おべんとクン」50年 最初は中華風肉団子 石井食品「イシイのおべんとクン ミートボール」(上)
食品添加物なし、卵や乳成分も不使用
イシイのおべんとクン ミートボールの製法はシンプルだ。ストイックとすら呼べそうなのは、製造工程において「食品添加物を使わない」という姿勢だろう。「無添加調理」を宣言している。食品添加物だけではなく、「卵と乳成分もゼロ」(素材価値開発部調達企画グループの仲山歩美マネージャー)だ。家庭の台所で使わないものは使わない態度はわかりやすく頼もしい。 鶏肉のハンバーグやミートボールでは、一般的には肉のマスキング(くさみ消し)に卵白を使うことが多かった。しかし、鶏肉メーカーの協力を仰いで開発した国産若鶏だけを使い、石井食品専用のパン粉を使うことによって、「卵を使う必要がなくなった」(仲山氏)。
アレルギー反応の心配をせず食べやすく
卵や乳成分を使わなくなったおかげで、それらの食材に食物アレルギーを持つ子どもにも、アレルギー反応の心配をせずに食べてもらいやすくなった。 「引き算の考え方が基本にある」と、仲山氏は言う。時間を掛けて、少しずつ原材料から余計な要素を取り除いていった。2006年には卵白やこしょう、菜種油、脱脂粉乳などを省いている。味わいのクオリティーを落とさず、削除や変更ができるよう、慎重に検証を重ねて引き算を続けた。 トレーサビリティー(生産履歴の追跡)を重んじているのも、安心感が高い理由だ。品質保証番号を商品パッケージに印字してあるので、商品履歴を確認できるサイト「OPEN ISHII」上で品質保証番号と賞味期限を入力すれば、原材料履歴やアレルギー情報などを消費者が自分で確かめられる。 小ぶりな食べやすいサイズで知られる。このミートボールの寸法にも子どもへの気配りが宿る。「幼稚園に通うような子どもでも無理なく口に入れられるよう、サンプリングに基づいてサイズを決めてある」(古屋氏)。 近年はいろいろな食品で内容量を減らしたり、グラム数を落としたりといった、間接的な値上げが広がっている。イシイのおべんとクン ミートボールに関しても一時期、「分量が減ったのではないか」と取り沙汰されたが、そんな事実はないそうだ。 子どもたちの口に合わせたサイズは変えようがない。子どもの頃から食べ慣れた人が大人になれば、口の寸法も大きくなるから、勘違いが生じるのだろう。長く食べ続ける人が多いロングセラーならではの誤解ともいえる。