「最も健康」「最も信頼できるブリーダーから」は真っ赤な嘘だった…NYペットショップと「子犬工場」のあぶない実態
「子犬工場」の犬たち
ニューヨークでは12月15日からペットショップでの犬(猫・ウサギも含む)の販売が禁止される。目的はパピーミル(子犬工場)とペットショップのあいだの、購入者から見えない繋がりである「パイプライン」を断ち切ることにあり、法案名は「パピーミル・パイプライン法」と名付けられている。 【関連記事】飢えて苦しむ動物たちの様子 パピーミルは直訳すると子犬工場になるが、アメリカの動物愛護協会による定義は「子犬とその母親のニーズを無視して、利益のために子犬を大量生産する非人道的な大量繁殖施設」となっている。飼育コストを抑え、母犬に産ませれば産ませるほど儲かるパピーミル。そのためパピーミルの犬たちは、劣悪な環境、過密状態、獣医師のケア不足のなかで過ごしている。 日本でも今年2月、長野県松本市の施設で犬452匹を虐待、フレンチブルドッグ4匹とパグ1匹に対して麻酔なしでの帝王切開したことによる罪を問う裁判が行われたが、そうした場所がまさにパピーミルだ。この事件では、どのペットショップに“売られていたのか”は明らかにされなかった。売り手がいるなら買い手がいる。 ニューヨークはパピーミルの子犬たちの「買い手」市場。ペットショップの子犬の43%はミズーリ州から来ており、アイオワ州、カンザス州も同様に多い。そうした中西部の州からニューヨークに来る子犬の4匹のうち1匹は、約750箇所のパピーミルと商業ブリーダーからだった(ASPCA)。商業ブリーダーとは、子犬を販売することで生計を立てている人たち。パピーミルとの明確な境はなく、商業ブリーダーはブローカーに子犬を販売してブローカーは大量にペットショップに持ち込んでいる。 アメリカのペットショップで売られているパピーミルの子犬たちは、先天性・遺伝性の疾患、または感染症を患っている確率が高いことがわかっている。パピーミルは、劣悪な環境下であることに加え、ほとんどの場合、遺伝性の病気の個体も考慮せず、近親交配で子犬が生産されているからだ。日本でも8週齢規制があっても、ペットショップから買った犬に病気が多い一因になっている。