自分の仕事が奪われている…『AI鬱』とは?当事者「ChatGPTのアップデートを恐怖に感じる」「AIにうまく使われる人のほうが重要なんじゃないか」 奪われる職と残る職は
便利さの反面、リスクも叫ばれるAI依存社会。今、問題視されつつあるのが「AI鬱」だ。 【映像】「自分たちの仕事を奪うために、自分たちが頑張ってる…」AI鬱の稲葉雄大氏 正式な病気ではないが、とある調査によるとAIが人間の仕事を奪うことに対し、およそ80%の人が不安を感じているという。実際にどこまで人間の仕事が奪われるのか。未来への不安を抱えるAI鬱について、『ABEMA Prime』で当事者と共に考えた。
AIライティングツール製作者の稲葉雄大氏は、ChatGPTのアップデートを恐怖に感じ、AI鬱に悩まされている。「発症したのは大体2年前くらいだ。AIによって、自分が仕事をしなくてよくなると好意的に感じ、すごくうれしかった。しかし、精神的な反応は真逆で、不眠やモチベーションの低下が起きた。最終的なアウトプットをAIが超えると考えたら、今仕事をしている意味が分からなくなった」と明かす。
昨年アメリカでは、AI導入によって4247人の失業者が出ている。経営コンサルタントで、ライター活動も行っている小林啓倫氏は AI導入の影響について「新しいテクノロジーが出てくると、どうしても今まで担っていることは置き換えられる。その中で失われていく仕事はどうしても出てくる。今起きているのは、1つの仕事がなくなるわけじゃなくて、少しずつ自分の持っているタスクがなくなっていく」と説明。 また、自身の翻訳家の仕事を引き合いに「AIは英文を訳すことができ、80点ぐらいのものを出してくれる。今まで80点の仕事は、新人の翻訳者がやっていたが、今後は頼らなくてよくなる。新人の翻訳者のやっていた仕事はなくなっていくが、翻訳者という仕事自体は残っていく。そういうふうにちょっとずつ欠けていくことが起きている」と補足した。 しかし、こうした流れに小林氏は「今まで新人や下働きみたいなことをしていた方がAIに置き換わってしまうと、結局、スキルを高めるための修行時代がなくなる。将来的に育たなくなるリスクが出てくる」との懸念も示した。 現実にはどういう仕事がなくなっていくのか。小林氏は「機械的にできてしまうところは置き換えられていく。例えば、計算や文章、音楽、動画はAIで平均的なものは作れてしまう。独創的なところが人間の残されたマーケットになっていくので、そこがどういうふうになっていくかだ」と答えた。 AIエンジニアの安野貴博氏は、なくなりそうな仕事について「知的労働者に寄っている。つまりプログラマーなど知的労働だと思われていたものが実はAIにとってやりやすい」との見方を示した。 稲葉氏は「全くおっしゃる通りで、知的労働こそが失われる感覚がある。今はAIを使う側が優れているみたいな論調があるが、むしろ真逆で。AIにうまく使われる人のほうが重要なんじゃないかと思っている」と述べた。 (『ABEMA Prime』より)