「オッペンハイマー」監督クリストファー・ノーラン単独取材 AIはハリウッドを変えるのか【WBS】
アメリカ・ハリウッドで今週末、アカデミー賞の授賞式が行われます。最も注目される作品賞の最有力候補「オッペンハイマー」のクリストファー・ノーラン監督がテレビ東京の単独取材に応じました。なぜ今、オッペンハイマーを描いたのか。また、急速に進化するAIでハリウッドは変わるのか聞きました。 3月10日の授賞式を前に関係者が続々とロサンゼルスに集まっています。アカデミー賞受賞への自信について聞かれた「ゴジラ-1.0」の山崎貴監督は「分からない。五分五分だなと思っている」と話します。 「ゴジラ-1.0」は日本映画として初めて視覚効果賞にノミネートされました。 「受賞して市場が日本だけではなくなれば、今後の制作費にも影響する」(山崎貴監督) 最も注目される作品賞。その最有力候補が、原爆を作った物理学者ロバート・オッペンハイマーの伝記映画「オッペンハイマー」です。13部門にノミネートされています。アカデミー賞前にクリストファー・ノーラン監督がテレビ東京の単独インタビューに応じました。 「なぜオッペンハイマーの映画を制作したのか」(鵜飼祥記者) 「彼の人生と、彼が世界に与えた影響にずっと興味を持っていた。私が育った1980年代のイギリスでは核兵器の脅威はすぐそこにあった。オッペンハイマーは人類史で最も重要な人物。今も続く『核兵器がある世界』をつくってしまった。私たちは今後も『オッペンハイマーの世界』に生きる。『核なき世界』に戻る道はない。1945年、生命を破滅させる能力を得て、人類はもろい存在になった」(ノーラン監督) 撮影手法は徹底したアナログ主義。色彩を豊かに表現できるフィルムカメラを多用し、CG映像とは距離を置きます。原爆を描くうえでも欠かせなかったといいます。 「実験の核爆発のシーンは鮮やかで脅威的である必要があった。映像で脅威を表現するにはアナログ撮影の方がはるかに効果的だ。CG映像は美しいが、どこか安全だと感じる。『重さ』が伝わる映像を作りたかった」(ノーラン監督) 代表作「テネット」などSF作品が多く、近未来を描いてきたノーラン監督。今、関心を寄せていることがあります。 「多くのAI研究者は『今がオッペンハイマーになる瞬間』と語る。『テクノロジーが意図しない結果をもたらす危険性』を研究者が考えていることに安心するが、核兵器が人類にとって唯一無二の脅威であり、AIの本当の脅威を掘り下げていくと『AIが核兵器を発射するかもしれない』と思ってしまう」(ノーラン監督)