我が子を虐待してしまうのは“鬼母”なのか?刑務所のドクターが見た真実
社会で保護して育てるしかない
――誰でも本能で子育てできるわけではないですもんね。 おおたわ:受刑者と話していると、やったことの大きさや自分の人生に対する現実感を持っていないような、張り合いのなさみたいなものを感じることがあります。 だから、子どもを育てるのが難しい人がいるなら、周りが保護して育てるしかないですよね。「母親なのに虐待した」と批判するのではなくて、子どもは社会で育てるもの、という考え方にするしかない。今は福祉にも限界があって家庭にズカズカとは入っていけないけれど、福祉がもう少し介入できるようになると、拾い上げられる命があるかもしれないなと思います。
ネットで誰が騒いでも、現実社会とは別
――ところで、おおたわさんはコメンテーターのお仕事をされているので、炎上したりアンチコメントがつくことも多いと思います。どうやって心を守っていくのがいいでしょうか? おおたわ:テレビに出始めた頃から、ネットで悪いことを色々と書かれたり、一晩で1万件くらいコメントが膨れ上がったりということは経験してきました。20年前はちょっとびっくりしたんですけど、もう気にならないですね。ブログは書いてますが、SNSはやっていないんですよ、めんどくさいから。 実際に石を投げられたり訴えられたりと実害があるなら話は別ですが、ネットで誰がどう騒いでいても現実社会とは違う出来事なのだと、自分とは切り分けて考えることにしました。もちろん、自分に非があるかどうかは、もう一度自分に問う必要があるとは思いますが。
エゴサをしていいことなんて一つもない
――エゴサーチはしないほうがいいですか?つい見てしまう人もいると思うのですが。 おおたわ:見ない方がいいですね。見ていいことなんて、1つもないですよ。エゴサーチはしない、と決めたほうがいいです。 人間は誰でも、表の顔と裏の顔があるけれど、ネットでは裏の汚いところを吐き出してるように見えます。だから私はあまりネットは見ないです。人の汚いところばかり見ていてもしょうがないと思うし、それが真実だと思ってもいけないと思う。実際に会うといい人なのかもしれないのだから、わざわざ悪いところを覗き込む必要はないと思っています。 <文/大日方理子 撮影/山田耕司> 【おおたわ史絵】 東京女子医科大学卒業。大学病院、救命救急センター、地域開業医を経て現職。刑務所受刑者の診療にも携わる。また、情報番組などのコメンテーターとしても活躍。著書『女医の花道!』はベストセラーとなり、近著に『プリズン・ドクター』『母を捨てるということ』などがある
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