「石川祐希はやっぱりスゴい」「あれはエグい」セッター関田、リベロ小川がベタ褒め…男子バレー世界一のために必要な“世界最高峰の日常”とは?
「試合勘がない…」試合前の不安はどこへ?
石川と高橋藍がチームに合流して練習を開始したのは、福岡ラウンド開幕の4日前。大会に先立って実施された6月2日の公開練習後、セッターの関田は「自分の出来が最悪で、祐希や藍を活かせなかった」と反省の弁を述べ、石川自身もしばらく試合から離れたことで「試合勘がない」と不安を口にしていた。 それなのに、本番のコートでは不安を微塵も感じさせず、石川も関田も「フィーリング」と口を揃えるプレーで魅了する。冒頭のインナーに叩きつけたスパイクはもちろん、3セット目の序盤に2本続けて石川が放ったバックアタックは見応えがあった。 イラン戦、関田は序盤からミドルブロッカー山内晶大を効果的に多用した。山内が「相手が最初からパイプ(バックアタック)を待っているのが見えたので、クイックを決めなければいけない状況の中でちゃんと決められた」と話すように、石川や高橋藍を警戒するイランを逆手に取った攻撃で先手を奪った。 前半はあえてミドルを多用し、オポジット西田有志もうまく絡める。そして後半へ差し掛かるにつれて、“すべて布石”とばかりに石川のバックアタックに託す。「いける」と判断すれば第3セット序盤のように立て続けに石川へトスを送った。 この2本のバックアタックは、感覚だけでなく“確信”もあったと石川は明かす。 「あそこは待っていた、というか。関田さんだったら2本連続で上げるだろうなと思って入っていたので、フィーリングじゃないですけど、数カ月合わせていなくても変わっていなかった。やっぱり(コンビが)合っているな、と感じました」
関田も認める“後輩・ユウキ”の進化
笑みを浮かべた関田は「よかった」と短い言葉で手ごたえを示すに留めたが、中央大学時代から長い時間プレーしてきた石川に対し、「存在感が違うし、成長ぶりがすごい」と称賛を送る。 「オフェンスの面で本当にすごいじゃないですか。何より場数を踏んでいるし、存在感で圧倒している。(セリエAの)3位決定戦でも、ラリーがつづいたらずっと祐希のパイプで、全部切る。あれだけ託されて、あれだけ決める。日本国内ではああいうアタッカーはいない。自分から『託してほしい』と言えるのも、決める自信があるから。それもすごいですよね」 イタリアで築き上げた姿は日本代表でも変わらず、公開練習でもスパイクを一本打つたびに、ジェスチャーと言葉で「もっと高く」と要求する。少しのズレでも決して曖昧にせず、必要ならば衝突すらも厭わない。 特にネーションズリーグは消化試合ではなく、パリ五輪に向けた熾烈なメンバー争いの場でもある。石川と高橋藍が加わったアウトサイドヒッターは最も熾烈とされ、前述の通り、ブラジルラウンドでは大塚達宣、高梨健太、富田将馬、甲斐優斗がそれぞれの持ち味を発揮して勝利につなげた。石川は「(高橋藍と)俺ら、いらないじゃん、と話していた」と笑うが、日本代表がさらに一段上のステージで勝負するためには層の厚さが求められる。それを一番求めているのが石川に他ならない。 「(パリ五輪登録メンバーは、現在の14名から)ここから12人に絞られる。その12人は強くないといけない。今はバチバチするタイミングだと思うし、それができなければ負けてしまうし、ポジションを取られてしまう。もちろん僕も、自分のすべきバレーを見せたい。目指すのは、誰が出ても強いバレーができるチームなので」
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