『虎に翼』尾碕真花が吐露した“子供らしい”本音 寅子が“居場所”を作るために尽力する
“拠り所”を作るために努力し続ける寅子(伊藤沙莉)
背を向けて椅子に座るのどかに、航一はゆっくり近づき同じ目の高さに座る。「何が食べたい?」という航一の言葉に、のどかは抑えていた感情が泣き声となって一気に溢れ出す。のどかの背中を優しくなでる航一に、微笑み合う朋一。家族としてのこれまでの形を見つめてきた百合の優しくも、安堵したような表情が印象的だ。なお、1話またいでいるので航一の「何が食べたい?」というセリフがパッと入ってきづらいが、のどかが一人パンをリクエストした修羅場の朝食からの麻雀大会からの家族会議、という濃厚な星家の朝の出来事でもあった。 物語は昭和31年秋から同年12月。寅子と優未が星家に戻り、のどかも一緒に夕飯の準備をしている。無事子供を出産した秋山(渡邉美穂)のベビーシッターに名乗り出る百合、朋一の司法修習の話と、徐々にフェードアウトしていき、カメラは星家に飾られた歴代の写真を映し出す。そこには優三の写真と、優未の入学式の家族写真。寅子と優未との間、そして星家の間にあった溝は埋まった。のどかを演じた尾碕真花がオンエア後、SNSに投稿していた星家のチェキがとてもほっこりとする写真だったのでここで取り上げたい(岡田将生と尾碕真花がお揃いの「さよーならまたいつか!」ポーズなのもいい)。 また、後世のため、未来のためにそれぞれの居場所、拠り所を作ろうとする寅子の姿勢が一貫して描かれていることも特筆しておきたい。『虎に翼』の放送も残りちょうど1カ月。9月30日には橋本環奈がヒロインを務める次の朝ドラ『おむすび』がスタートする。まさにクライマックスを迎える『虎に翼』は次週からいよいよ本格的に「原爆裁判」へと突入していく。
渡辺彰浩