【はじめて読むBLマンガ10作品】「BLアワード2024」の話題作も! 年間2000冊読むソムリエが厳選
胸が苦しくなるほどの切ない「日常×ファンタジー」
『ハッピーマジカルNIRVANA』 幼なじみの大悟に長く片想い中の澄春(すばる)は、不穏な「予言」がきっかけで大悟と弟が運営するシェアハウスに入居することに。男子5人の共同生活は順調なスタートを切ったかのように思えたが、古い民宿を改装した建物のあちこちには世界中から集まった摩訶不思議なグッズが隠れていてーー? シェアハウスのほのぼののんびりとした日常とファンタジー、どう物語が展開していくのか一見「?」のようにも思える組み合わせが、胸が苦しくなるほどの切なさを描き出します。どこにも行きようのない想いに立ち止まったままの澄春にとって、「恋」のモラトリアムとも言える物語です。 仕事をして、家に帰って眠ってまた仕事をして……時には心が枯れてしまいそうな日常の中で、ときめいたり、悩んだり、そんな等身大の社会人たちの4つの物語。
SNSでの出会いをきっかけに…現代の恋愛を鮮やかに描く
『インターネット・ラヴ! 』 ネイリストとして東京で暮らす今どきの男の子、天馬。彼の5年越しのインスタ推し、韓国人のウノくん。しかし、ウノくんの生活にある変化が起こったことで、天馬のハッピーネトストライフにも急ブレーキが。画面越しに始まり画面越しに終わるはずだった恋は、はたしてーー? 「今」という世界の不確さときらきらとした輝き、そこに生きる淋しさと心細さ、それをそっと汲み取ってくれるような、とても優しいお話。さらりと始まるのに存在という普遍の問いかけを通して不思議なほど心を震わせる、コロナ後だからこそ紡がれた物語ではないでしょうか。
大切だからこそ一歩が踏み出せない、大人のラブストーリー
『また明日会えるよ』 やけ酒で酔いつぶれたサラリーマンの木村は、見知らぬ家で目を覚ます。倒れていた彼を運んで介抱してくれたのは国島という男で、実は他部署の同僚だった。連絡先の交換をきっかけに、飲みに行ったり、休日を一緒に過ごしたり、友達としてそんな日常を積み重ねる中で、二人の距離はだんだんと近づいていくがーー。 「ゲイだから友達になれないとかあるんですか」子供のころから人と距離をとるようにして生きてきた木村と、マイペースだけれどフラットなものの見方ができる国島。国島が暮らす古い平屋で、庭を眺めながら過ごす二人の穏やかな時間。惹かれる気持ちはありながらも、相手を思い遣るからこそ踏み出せない、そんな奥ゆかしさが愛おしい、静かな大人のラブストーリーです。