一山麻緒は万感51位「順位をみると惨敗なんですけど」声援を背に走った夢舞台に感動の涙「日本を背負って走れてうれしかった」
「パリ五輪・陸上女子マラソン」(11日、パリ市庁舎~アンバリッド) 2大会連続出場となった一山麻緒(27)=資生堂=は2時間34分13秒の51位で2大会連続の入賞はならなかった。10キロ過ぎから先頭集団から離される苦しいレースとなったが、最後は笑顔も浮かべながらゴールした。 【写真】揺れる髪に潤む瞳 帽子を取ってゴールする一山麻緒 インタビューでは涙も浮かべ「ほんとうに順位をみると惨敗なんですけど、走る前は走るよりも怖くて仕方がなかったんですけど」と明かした上で「実際走ってみて、日本の方はもちろん、世界中の人にジャパンをたくさん応援してもらって日本ってたくさん応援されているんだなって。そんな日本を背負って走れてうれしかったです。東京とは全然違って、これが本当の五輪なんだって、走って応援を肌で感じて、本当にうれしかったです」と、東京五輪とは違う有観客での夢舞台を疾走した思いを語った。 そして「振り返ると本当に苦しいことの方が多くて。東京までの4年間よりも苦しい時期が多かった。専任コーチも嫌になったり、何もかも嫌になる時間も多かった。一緒に過ごせる時間は少なかったが夫や、トレーナーが支えてくれた。無事にスタートラインに立てて、うれしい気持ちで走ることができて、最後までありがたいなという気持ちでゴールしました」と、うなずいた。 2大会連続となる五輪の舞台。東京では8位となり、日本勢では04年アテネ五輪以来4大会ぶりの入賞を果たした。しかし、22年の世界選手権は新型コロナ感染で欠場。苦境も味わった。 支えになったのは、21年12月に結婚した男子マラソン現日本記録保持者・鈴木健吾の存在だ。「パリに向けて一緒に頑張っていこう」と背中を押され、23年10月のMGCで2位に入って五輪切符を手中に。「夫婦でパリに行きたいという思いで走った。今まで陸上をしてきた中で一番うれしい2番」と涙して声を詰まらせた。鈴木は五輪出場を逃し、夫婦そろっての出場はかなわなかったが、夫の思いも背負ってパリのスタートラインに立っていた。 ◆一山麻緒(いちやま・まお)1997年5月29日生まれ。鹿児島県出水市出身。2020年の名古屋ウィメンズで日本歴代4位(当時)の2時間20分29秒をマークして優勝し、東京五輪代表入り。同五輪は日本勢で4大会ぶりの入賞となる8位。21年12月に男子マラソンの鈴木健吾と結婚。22年4月にワコールから資生堂へ移籍した。リフレッシュ方法は温泉。得意料理はタコライス。身長158センチ。