賞状と銅メダルを手に「奄美をPRできた」と報告する福山さん

　第36回全国健康福祉祭とっとり大会「ねんりんピックはばたけ鳥取2024」（厚生労働省など主催）の文化交流大会が20日、鳥取県日南町の同総合文化センターで開かれた。民謡の部に鹿児島県代表として出場した奄美市名瀬の福山尚史さん（65）がシマ唄を披露し、全国4位にあたる銅メダル（審査員特別賞）に輝いた。福山さんは「全国でもたくさんの人に奄美を知ってもらうことができた。本当に意味のある大会だった」と笑顔で話した。 　福山さんは同市芦花部出身で、奄美郷土研究会などに所属する奄美シマ唄民謡研究家。唄は奄美民謡界100年に一度の唄者と呼ばれた故・武下和平氏に47歳で師事し、4年前に帰郷した後もあやまる会に入るなど、日々の研さんに励んでいる。 　県代表には民謡協会の推薦を受け、審査を経て選ばれた。民謡の部には労働歌やわらべ唄、新民謡などを地域で受け継ぐ各県の代表者56人が出場。1人1曲3分以内で、日南町長や歌手、音楽協会理事長ら4人が審査にあたった。

ねんりんピック鳥取大会が開かれた日南町総合文化センター（福山さん提供）

　20番目に登場した福山さんは、三線（サンシン）を手に西郷隆盛と愛加那を想起させる唄「長雲節」で挑んだ。緊張の中でも、「裏声が命のシマ唄。上で息を吐くことを意識し、腹筋を使って息が途切れないよう心掛けた」という福山さん。結果発表で名前を呼ばれた時には、思わずガッツポーズで拳を握りしめたという。本来は裏声を使わないことが民謡のルール。他県の出場者にもシマ唄は衝撃だったようで、演奏後は「楽しかったです」「格好良かった」などと、たくさんの声を掛けられたという。 　今後に関して福山さんは、「シマ唄の音源もどんどん少なくなってきている。音階と音の理論を早く確立させたい」と論文の完成を急ぐ。シマ唄については今年5月に行われた奄美シマ唄日本一大会・壮年の部で九州大会出場権を獲得しており、「また大きな舞台で奄美をPRできれば」と心待ちにしている。 　ねんりんピックは、主に60歳以上のシニア世代を中心に1988年から毎年開催。鳥取大会は19～22日にあり、同県内19市町村でスポーツや文化種目など計29種目を実施。期間中は観客を含め全国から延べ53万人（速報値）が訪れたという。