リオ、東京の連覇とパリの途中棄権。それでもキプチョゲは走り続ける。マラソンを志す日本のランナーへのメッセージは「規律あるトレーニングと正しいシューズ選びが大切」
オリンピック男子マラソン2連覇のエリウド・キプチョゲ(ケニア)は、パリ・オリンピックでは途中棄権に終わった。 走ることへの情熱は変わらず持ち続けている。レースの翌日、パリ市内のナイキ アスリート ハウスで日本メディアのインタビューに応え、今後も走り続けること、競い続けることを明言。 パリでのことを振り返りながら、オリンピック過去2大会との違い、ナイキのシューズの進化と自身の進化、今後のターゲット、マラソンを志す日本のランナーへのメッセージについて「走る哲学者」が穏やかな口調で語った。
スポーツというのは予測不可能
――3度目のオリンピックのマラソンは途中棄権(30km過ぎ)となりましたが、腰痛が原因とのことですが、改めて棄権した理由を聞かせていただけますか。 キプチョゲ:今回のレースは本当に厳しかったです。この3~4カ月間、非常に制約の多い中でしたが良いトレーニングをしてきました。しかし、今回は昨日の結果の通りうまくいきませんでした。結果的に途中棄権しました。スポーツというのは本当に予測不可能です。今、何を言ったらいいのか分かりませんが、これがスポーツというものです。 ――優勝した2016年リオ、2021年東京の2大会とパリはどんな違いはありましたか。 キプチョゲ:リオは私にとってオリンピックのスタートでした。東京はCovid19の影響で少し厳しかったです。しかし、今回のパリには大きな変化がありました。いろんな方々が私に話しかけてくれたり、交流したり、周りで応援することができたからです。毎回、みんなが応援してくれて、まさにコースも含めて私たちと観客すべてが⼀体となった感じがありました。 ――キプチョゲ選手はナイキのシューズの進化とともに自身も進化してきました。キプチョゲ選手がシューズに求めるものは何でしょうか。 キプチョゲ:ナイキのシューズは私たちを大いに前進させてくれました。私たちの貢献とテストによって、得られるメリットも少なくありませんが、何よりも走ることを楽しんでいます。私個人としては、ナイキのシューズのテクノロジーとともに進化してきたと思っています。ナイキのシューズは、この10年間で多くのテクノロジーが詰め込まれており、それは私たちにとってプラスです。私は、ナイキの未来が明るいことを確信しています。特に、ラボからの科学的なインサイトに基づいているので、私たちがより速く走れるシューズをつくり、ランを長く楽しめるものを提供してくれることを期待しています。 ――今後、ナイキ アルファフライ 3と共に、どんな目標を成し遂げたいと思いますか。 キプチョゲ:私が達成したいのは、とても速く走り、速く回復することです。 ――今後のターゲット、モチベーションなど、うかがえれば教えてください キプチョゲ:まだ走り続けたいです。そしてまだ競い続けたい。南米などマラソンが行われていない場所へ行き、スポーツを愛する人々と⼀緒に走り、メッセージを伝えたいからです。