【新潟記念など】夏競馬のラストを飾る難解なレース 伏兵がつけ込む余地とは?/長岡一也
【長岡一也=コラム「競馬白書」】 ◆2歳重賞は前走余裕を感じられた馬に注目 夏競馬のラストを飾る新潟記念は、実績馬には厳しいハンデ戦であって、それは毎年3連単の高配当にあらわれている。10万円超がこの10年で6回もあり、特にこの3年の結果には目を見張るものがある。 【写真】キングズパレスのこれまでの軌跡 こんな状況から1番人気は10年で4連対のみでこの5年は一度も3着以内に来ていない。コンディション調整のムズカシイ夏場をすごしていること、秋につなげるレースをと目標を先に持っているものが多いことなども波乱に拍車をかけていると言っていい。 サマー2000シリーズの最終戦という観点から、チャンピオンに手の届く2頭、七夕賞の1、2着馬から検討に入るのが普通で、ポイントはハンデだ。そして伏兵のつけ込む余地はそこにある。 一方の札幌2歳Sと小倉2歳Sは、はっきりこの先の可能性を広げるために戦う若駒たちのレースで、早目に賞金を加算しておきたいと出走している。 札幌の洋芝の1800米という条件と、今年は中京の1200米で行われる小倉2歳Sはスプリント戦に対応できる能力を、検討の中心においてみたい。 最初に新潟記念だが、七夕賞を勝ったレッドラディエンスは、前半1000米57秒3というハイペースの中、中団大気から一気に末脚を伸ばし2馬身差をつけ、今年に入って充実期を迎えたという印象を強くしているディープインパクト産駒だが、ハンデ頭が大苦戦のこのレースで、58.5キロはきつい。戸崎騎手は「乗りやすく、レース上手がこの馬の武器」と言っていて、それはそのまま成績にあらわれている。それでも、福島から新潟へとコースが変わり、よくても連対どまりと見たい。 一方2着のキングズパレスは、その直後につけてジリジリ伸びていたが、2走前に新潟大賞典でハナ差2着と走っており、直線の長いこのコースは有利だ。ハンデ差も加わり、初の重賞勝ちの可能性は大きい。 軽ハンデ組からは、54キロのエーデルブルーメを。マーメイドS2着は終始外々を回されながらも渋太く伸びていた。馬場が渋っても大丈夫なタイプというのが心強い。 53キロのアリスヴェリテは、先行できるのが強味でスタミナ勝負でも通用できるので圏内に入れたい。 札幌2歳Sは、北海道シリーズの新馬戦で5戦4勝2着1回の須貝きゅう舎のマジックサンズを狙いたい。函館の1800米でスタミナのあるところが目につき、スタートや折り合いに不十分な運びでありながら勝って見せていた。2戦目での期待は大きい。 中京の小倉2歳Sは、同じ舞台で最速の上がりで勝ったエイシンワンドに注目したい。2番手から抜け出して、まだまだ余裕が感じられた。そして、もう一頭レイピアを。新種牡馬タワーオブロンドンの産駒で、スプリンターズSを勝った父の血を受けスプリンターで、2戦目で逃げて最速の上がりをマークして勝ってきたが、パワーがあるので中京の坂も味方につけられると見ている。 「実戦で 思いのたけを 打ち明けて」