センバツ2023 報徳の戦い振り返る アッと驚く勝利続き /兵庫
第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)で21年ぶりの決勝に進出し、準優勝した報徳学園。秋からチームの取材を続けてきた記者がセンバツでの戦いを振り返る。【大野航太郎】 ◇自信つけ、悔しさ経験 夏は日本一に 「何で僕らが優勝候補なんですか?」。3月初旬、他校との練習試合後、副主将の竹内颯平(3年)が記者に尋ねた。周囲から高く評価されていても、選手たちにその自覚はないようだった。「マイペースな子たち」と大角健二監督(42)が評していたが、気負いのない様子に驚いた。 自分たちのペースで野球を楽しむ姿勢は甲子園でも変わらず、逆境を幾度もはねのけた。3回戦で東邦、準々決勝では夏優勝の仙台育英を相手に2戦連続でサヨナラ勝ち。あまりの劇的な勝利に指導者たちも驚いた。名物の応援「アゲアゲホイホイ」でスタンドの声援を味方につけ、準決勝の大阪桐蔭戦では5点差から逆転勝利。秋季近畿大会決勝で敗れた雪辱を果たすと、選手たちは雄たけびを上げながら、スタンドに向かって笑顔でガッツポーズした。 快進撃を続けたチームに決勝で立ちはだかったのが、6試合連続で先発した山梨学院のエース・林謙吾(3年)だった。2点を先制したものの逆転を許し、春3度目の優勝を逃した。大角監督は「疲労がたまっていたはずの林投手の気迫を上回るものが、こちらにはなかった」と振り返る。 試合後、あと少しで頂点に届かなかった選手たちは悔し涙を流した。「この大会で自分たちのチームが一番自信をつけ、一番悔しい思いをして、良い経験をさせてもらった」と大角監督。グラウンドには1年生が練習に加わり、さらに活気づいている。主将の堀柊那(3年)は「最後の夏は絶対に日本一になる」と前を見据える。 〔神戸版〕