渡辺謙「日本はリスクを恐れすぎているんじゃないかな」危機感を抱く映像業界の呪縛と観客の成熟度
WOWOWと米大手動画配信サービスMax(旧HBO Max)との日米共同制作によるドラマ『TOKYO VICE』は、世界120か国で放送・配信されるほどの人気を誇る超大作シリーズだ。4月6日からは待望のSeason2の放送・配信スタート。本作でエグゼクティブ・プロデューサーを務めた渡辺謙に、タブーに切り込んだドラマの見どころと、日本の映像業界の問題点を聞いた。 【画像】渡辺謙がプロデューサーに「これはあかんやろ」と言った『TOKYO VICE Season2』の場面
パワーアップしたSeason2のヤバさは必見
──『TOKYO VICE Season2』ではヤクザと政治家、メディアが絡み合ういろいろとヤバすぎるストーリーが繰り広げられます。渡辺さんが演じるベテラン刑事の片桐が、冒頭から刑事としての一線を越えてしまう展開にもテンションが上がりました。 渡辺謙(以下、同) 逸脱してますよね。最初はJT(プロデューサーのJ・T・ロジャース)に、「これはあかんやろ」って言ったんですよ(笑)。勝手に他人の家にあがり込んで脅しをかけるとか、堅気の刑事にこんなイリーガルなことはさせられないから。 でも、片桐はもう刑事を辞めてもいいぐらいの覚悟で闇の深い事件に突っ込んでいくんだと考えると、逆にこれもありだと思い直しました。 ──5話まで拝見しましたが、カチコミもドンパチも迫力満点です。改めて、ハリウッドでここまで日本のヤクザものができるのかと。 いやいや、まだその後がね(笑)。東京都庁前での銃撃戦もありますから。 ──それはすごいですね! 続きがますます楽しみです。一方で、Season2では、よりキャラクターの背景や内面が掘り下げられていると感じました。 それぞれのキャラクターのバックグラウンドや、今抱えている苦しみみたいなものが鮮明になってきます。そういう意味では、単純にバイオレンスやクライムサスペンスという側面以上に、人間ドラマの比重も大きくなっていると思います。没入感が増しているので、楽しみやすくなっているんじゃないのかな。