【こちら日高支局です・古谷剛彦】生産者や育成者の思いを忘れてはならない
グリーンチャンネルで2010年に始まった馬産地情報番組「日高支局定期便」をモチーフに、当欄は2011年4月に始まった。当時は、東日本大震災が起きて1か月も経たない状況だったが、オルフェーヴルが三冠馬となり、ヴィクトワールピサがドバイ・ワールドCを制し、南部杯を東京競馬場で実施するなど、元気と勇気を与える話題が多かった。その一方で、荒尾競馬が12月23日の競馬を最後に廃止となり、2013年3月には福山競馬も終えんを迎えるなど、地方競馬は依然として危機感を持つ時代でもあった。また、JRA北海道シリーズと言えば、4か月間のロングラン開催が常だったものの、2012年から約1か月短縮された。JRAも売上がまだ売上が厳しい状況で、首都圏及び関西圏の開催が増えていき、ローカル開催は新潟と中京に重きを置くスケジュールに変化していく。 生産の9割以上を誇る北海道はもちろん、青森や九州で競走馬の生産が行われるなか、福島と小倉開催も、以前に比べれば開催日数は減っていき、日程も目まぐるしく変わった。馬産地に近い場所のJRA開催が減っていることに、生産者たちの危機感は強い。小倉競馬は来年、オールドファンにも定着していた小倉2歳Sの名がなくなり、北九州記念と小倉記念が7月に移った上に、函館競馬とともに7月20日でこの年の開催が終了してしまう。定着していたものが、一気に崩れたとなれば、ローカル軽視の道へ加速することを危惧する。 私が競馬を見始めた頃と、今の競走体系は大きく変わった。短距離や牝馬路線、ダート競馬が軽視されていた時代から、あらゆるカテゴリーにG1ができ、地方競馬との交流も増え、海外での活躍も当たり前の時代となった。競馬の目立つ場所には、騎手と調教師がいる。それとともに、生産者や育成者の思いも忘れてはならない。馬産地に近い場所での競馬は、関係者が関わった馬を応援しに行きやすいという利点があり、人材不足が謳われている昨今からホースマンを育てる上でも重要だと思っている。 長きに渡ってお付き合い頂き、感謝申し上げます。(競馬ライター)=おわり=
報知新聞社