社長の「輩出率」徳島県が7年連続トップ 沖縄県内企業の社長は全国で唯一、9割以上が“地元出身”
社長の出身地の「地元率」 沖縄県が11年連続トップ
社長の出身都道府県と本社の所在地が同一の「地元率」は、沖縄県が92.4%(前回92.5%)で調査を開始以来、11年連続トップだった。47都道府県のうち、唯一90%台を維持した。 県内産業の中核が「3K」(観光、公共事業、基地)で、離島という地理的な要因もあって他県からの移住より、地元出身者の起業が多いようだ。 東京商工リサーチが2024年5月に発表した“2023年「全国新設法人動向」調査”で、普通法人数に対する新設法人の割合が沖縄県は8.6%で14年連続トップだった。インバウンド需要を背景に、起業ペースはしばらく高水準をたどりそうだ。 2位以下は、愛知県88.7%(前年89.0%)、広島県87.2%(同87.3%)、北海道86.9%(同87.1%)、香川県85.9%(同85.9%)、宮城県85.7%(同85.7%)が続く。 いずれも地域経済の中心で、地元から出ない、あるいはUターンの社長が多い可能性もある。 愛知県や広島県は自動車産業の集積地で、取引先や関連企業など裾野が広く、下請け企業の後継社長も押し上げた可能性がある。 一方、「地元率」の最低は奈良県の64.1%(前年64.9%)だった。次いで、長崎県66.2%(同66.5%)、兵庫県67.0%(同67.6%)、佐賀県69.0%(同68.8%)、山口県69.4%(同69.2%)、鹿児島県69.4%(同69.5%)、千葉県69.9%(同70.2%)と続き、7県が70%を割った。 大都市圏への流出が多いとみられるが、逆に他県で活躍する人材(社長)を多く輩出しているともいえる。 ◇◇◇ 社長の「輩出率」や「地元率」を都道府県別にみると、人口動態や地場産業、県民性、地理的条件など、様々な要因が絡み合っている。 全国で少子高齢化に歯止めがかからず、大企業や幅広い職種を求めて若者が地方から大都市圏へ流出しており、都市部の「地元率」は今後も低下していく可能性がある。 また、後継者不在で事業承継が難しい中小企業は、親族以外の第三者承継やM&A、事業譲渡を選択するケースが増えてくると思われる。より一層、官民による支援やM&Aプラットフォームの充実が進むとみられる。政策と税制面から後押しすることで親族以外への事業承継が円滑に進めば、社長の「地元率」にも変化が生じる可能性が高い。