終わらないアスベスト被害 今後迎える高度成長期のビル解体にどう対応
対策工事が「褒められるようにならないと」
もう一つは、アスベスト除去の作業は場合によっては建物全体を閉鎖するなどコストがかかるだけでなく近隣への影響もあるため、施主が消極的になりがち。この日、参考講師として出席したアスベストの処理技術を持つ企業の役員は講演で「自分の建物にアスベストがあることを知られたくないという心情の所有者もいます。調査に踏み出しにくい、という方も多い」と実情を説明。 このためこの企業では大掛かりな作業を伴わない方法として、液剤をアスベストに染み込ませて固定化、無害化する技術を開発し、アスベストをはぎ取ったり削り取るのではなく「封じ込める」方法として理解を広げている、としています。役員は「アスベストの対策工事が(敬遠されるのではなく)褒められるようにならないといけない」と訴えました。 鵜飼理事長は「アスベストを使っているものを含むぼう大な数の建造物の解体を前にして、行政や建設関係の業者、専門家が一緒になって対策を急がなければいけません」と、厳しい表情を見せていました。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説