ワインの常識を変えた缶ワインはなぜブームになったのか? 缶でワインを飲むことの最大のメリットと市場拡大となった「思わぬ理由」
自分に合った適量を選ぶことができる
さらに缶ワインは、大手メーカーも参入したことで、ここ数年で急激に市場が拡大し、その裾野が広がっている。また、缶ワインブームには思わぬ理由もあった。 「缶ワインの登場によって、消費者がワインに感じるハードルを下げたことがブームの要因だと思っています」 ボトルワインはコルク栓をすればいいかもしれないが、1本開けるとなると1人ではなかなか飲みきれないという人も多いだろう。 だが、缶ワインは1本180~300mlの製品が多く、一人でも飲みきりやすい。自分に合った適量を選ぶことができるのが最大のメリットだ。 「適量を選べることでワインを飲む年齢層が拡大したと思います。これまでワインに親しみがなかった若年層から健康志向が高まる50代から60代の年齢層まで間口が広がりました。 また良質で適量なワインをお手頃価格で手に入れることができ、さまざまな種類にもトライしやすいというのも人気の理由だと思います」 ここ数年はコロナ禍の影響で、家呑み需要も高かったため、そういった社会的背景もブームを押し上げる要因になったのかもしれない。 さらにボトルワインのように、開栓の手間もなく、瓶が割れる心配や保管に気を使わなくてもいいので、キャンプやバーベキューなどのアウトドアでも気軽に飲むことができる。 「缶は遮光性や気密性に優れているために長期に渡って風味が長持ちします。また、アルミ缶は再利用率が高く、環境に配慮されているのも、手に取りやすい点だと思います」 同社では、2011年7月に第2弾のボトル缶ワイン「プティモンテリア」をリリースし、今や同社を代表する商品となった。 「飲料用カップをなくした低価格帯の本格ワインを望む多くのご意見をいただき、チリ産の良質なワインを輸入、弊社工場にてブレンドと充填を行い、リリースした商品です。缶のデザインはボトルワインのように、ラベルデザインにしたことでスタイリッシュ感があり、映える!と好評です」 さらに250mlや180mlのスリムな缶ワインもボトルデザインを工夫し、ちょい飲みしたい人に人気だとか。 「缶ワインのよさはカジュアルに本格ワインを楽しめることだと思います。冷蔵庫でキリッと冷やしてさまざまなシーンで楽しんでいただけばと思います」 缶ワインの写真提供/モンデ酒造 取材・文/百田なつき
百田なつき