7-9月期のサムスン電子、売上最大にもかかわらず営業利益は期待以下…半導体の不振が影響
サムスン電子が7-9月期に売上79兆897億ウォン(約8兆8018億円)、営業利益9兆1834億ウォンを記録したと31日、公示した。四半期売上基準では歴代最大値で、従来の記録(2022年1-3月期、77兆7800億ウォン)を上回った。しかし、営業利益は直前四半期(10兆4439億ウォン)よりも減った。 ◇半導体部門の収益性低下…「臨時コストの余波」 主力である半導体(DS)部門の実績が不振だった余波が大きかった。メモリー・システムLSI・ファウンドリ(委託製造)事業を包括するDS部門は売上29兆2700億ウォン・営業利益3兆8600億ウォンを記録した。SKハイニックスが同期間メモリー半導体事業で収めた営業利益(7兆300億ウォン)の半分水準だ。サムスン電子は「主要スマートフォンメーカーの在庫調整でモバイルなどで需要が劣勢を示した」と説明した。 半導体部門全体の実績を左右するメモリー事業部が汎用DRAM、NAND市場の価格下落傾向の中で、人工知能(AI)メモリーとして脚光を浴びている高帯域幅メモリー(HBM)市場で技術リーダーシップを失い収益性が悪化した。特にサムスン電子が市場を先行掌握したレガシー(汎用)メモリー製品の需要が予想より大きく減ったうえに、中国半導体メーカーが本格的に該当市場に参入して7-9月期の実績に本格的に悪影響を及ぼし始めたものと分析される。 ただし、サムスン電子は「在庫評価損戻入規模の縮小とインセンティブ充当などの臨時コスト、ドル安にともなう為替の影響などで利益が減った」とし「これによって市場コンセンサスとの違いが大きく出た」と説明した。臨時コストなどを除くと、DS部門の営業利益は5兆ウォンを超え、赤字を出したファウンドリ・システムLSI事業部の影響を勘案すると、実際にメモリー事業部が出した営業利益は7兆ウォンに近いということだ。サムスン電子側は「幅広いHBM顧客に物量の供給を続けている」としながら「前四半期に比べてHBMおよびサーバー向けDDR5の売上は大幅に増加した」と明らかにした。 ◇スマートフォン・家電市場の不況の中でディスプレイなどが善戦 スマートフォン・家電などを担当するDX部門は売上44兆9900億ウォン・営業利益3兆3700億ウォンを記録した。モバイル事業を担当するMX事業部は売上30兆5200億ウォン・営業利益2兆8200億ウォンを記録した。世界的なスマートフォン市場沈滞の中で前年度と比較するとやや振るわない成果ではあったが、新型フォーダブル(折りたたみ)スマホの発売などに支えられて直前四半期比で営業利益を増やした。 サムスン電子側は「スマートフォン・タブレット・ウェアラブル新製品の発売で前四半期比で売上および営業利益が成長した」としながら「製品競争力強化のためにスペックが向上して材料費が引き上げられたが、フラッグシップ製品を中心に販売して売上が拡大し、二桁近い利益率を確保した」と説明した。 サムスンディスプレイは売上8兆ウォン・1兆5100億ウォンの営業利益を記録し、家電・スマートフォン市場沈滞の中でも比較的善戦した。サムスン電子は「ディスプレイ事業は、中小型の場合、主要顧客の新製品需要が持続してITおよび電装製品の販売増加が予想される」とし「ただし、パネルメーカー間の競争が激化するに従い、対前四半期比の実績改善については保守的に展望している」と説明した。