健康診断での「視力検査」…どんな基準から「視力1.0」と言っているか、あなたは知っていますか?
毎年1回は受けることが義務付けられている職場健診。健診結果の異常を示す「*」がついた数値には、実は気にしなくて良いものもあれば、今すぐに再検査を受けなければならないものもある。果たしてあなたは診断結果の本当の意味を理解しているだろうか。 【漫画】くも膜下出血で倒れた夫を介護しながら高齢義母と同居する50代女性のリアル BMI・血圧・尿糖・眼底など項目別にその検査結果の正しい見方を解説した『健診結果の読み方』(永田宏著)より一部抜粋してお届けする。 『健診結果の読み方』連載第39回 『尿酸値が高い人は認知症になりにくい⁉…「高尿酸血症」の人への知られざる「恩恵」』より続く
視力検査
視力検査は健診の必須項目になっています。 健診でやるのは「裸眼または矯正」「遠方」「片眼」「静止」視力の検査です。メガネやコンタクトレンズをつけているひとは、普通は「矯正」視力のみ測ります。「遠方」視力とは、視力表を5mの距離から見たときの視力です。 視力表とは、例の「C」の字(ランドルト環)が並んだ表のことです。「E」の字が並んだ表(Eチャート)が使われることもあります。オタマのような道具(遮眼子)で片眼を隠すので、「片眼」検査とも呼ばれています。またランドルト環は動いたりしませんから、当然「静止」視力を測っていることになります。
視力で測っている項目
視力と言っても、実際に測っているのは、判別できる視角の大きさです。視角とはランドルト環のすきまと眼の中心がつくる角度のことで、1分単位で表されます。1分とは、1度の60分の1の角度です。 視力は、視角を使って次の式で求められます。 ---------- 視力=1÷視角 ---------- したがって1分の角度(に相当するランドルト環のすきま)を判別できれば、視力は1.0ということになりますし、10分の角度しか判別できなければ、視力は0.1となるわけです。 アフリカのサバンナに暮らすマサイ族などの視力は、4~5が当たり前と言います。しかし世界で最も視力が良いのはタンザニアのハッザ族と言われており、最高記録は11.0だったそうです。ただしテレビの特番企画かなにかで測ったものなので、どこまで信用できるか分かりません。 日本人では、視力が2.0もあれば、かなりすごいほうです。実際、日本で使われているランドルト環も2.0までしかありません。そんな日本人の視力の基準値は、左右とも0.7以上(もちろん矯正視力も可)となっています。そのくらい見えていれば、日常生活にあまり不便を感じないはずです。 ただし小中学校では、1992年から「ABCD判定」と呼ばれる、4段階の判定が使われています。片眼検査を行い、左右の視力に差がない場合は、次のように分類されます。 A:視力1.0以上 B:視力0.7以上1.0未満 C:視力0.3以上0.7未満 D:視力0.3未満