バーゼル銀行規制の気候変動リスク開示案が暗礁に、FRBが支持せず
(ブルームバーグ): 米連邦準備制度理事会(FRB)を中心とする米規制当局は、金融機関に気候変動リスクの開示を求めるバーゼル銀行監督委員会(BCBS)の提案について支持することを拒否している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
米国が方針を転換する可能性がないわけではないが、バーゼル委員会はすでに、FRBに譲歩して提案内容を大幅に薄めていると、部外秘の情報だとして関係者が匿名を条件に明らかにした。そのため、世界的な銀行規制で気候変動に配慮する取り組みが、無期限で棚上げされる展開も想定しているという。
バーゼル委員会は19日に開催を予定している会合で、開示に関する枠組みについて再び議論する見通し。
先の米選挙で返り咲きを果たしたトランプ次期大統領は温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から再離脱する意向を示している。
FRBの行動がトランプ第2次政権の見通しによって影響されたことを示すものは何もなく、パウエル議長はFRBの独立性を明確に主張している。とはいえ、今回の動きは、世界最大の経済大国である米国が世界の気候変動対策で果たす役割を巡り、懸念を高めそうだ。
銀行規制における気候変動の扱いに関して、米国とユーロ圏の立場には大きな隔たりがある。欧州中央銀行(ECB)は気候変動リスクへの対応で基準を満たさない限り、罰金が科せられると、域内の金融機関に繰り返し伝えている。一方、パウエル氏は銀行規制当局が気候変動対策を主導すると期待するのは「大きな間違い」だと述べている。
原題:Fed Refuses to Back Basel Climate Plan, Leaving Talks in Limbo(抜粋)
--取材協力:Katanga Johnson、Niclas Rolander、藤岡徹、Julius Domoney.
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Alastair Marsh, Nicholas Comfort