しまむらAIモデル「瑠菜」魅力を感じさせる特徴 平均顔に絶妙なアレンジが加えられている
■AIによる創造物にはデメリットも AIモデルと実在のモデルを比べた研究ではありませんが、アナロジーとなるのが、AIによる創造物と人間による創造物の比較研究です。概ね、私たちはAIによる創造物にネガティブなバイアスを抱くようです。 例えば、Bellaicheら(2023)は、AIで生成した30枚の絵を用意し、このことを実験参加者に知らせずに、「AIで生成された絵」あるいは、「人間が描いた絵」に判断・評価してもらう実験をしました。
実験の結果、「人間が描いた絵」に比べ、「AIで生成された絵」と判断した絵を、ネガティブに評価する傾向にあることがわかりました。さらに、「人間が描いた絵」と判断した絵を、深遠で意味深く、価値がある、と評価する傾向もわかりました。 人間のモデルを人間による創造物と考えることに賛否あると思いますが、私たちが実在のモデルを見るとき、本人が生まれ持って保持している美そのものだけでなく、モデルになると決意し、心身を作り上げ、維持し、魅せていくプロセスにさまざまな背景を感じ、物語を知り、感情を見る。こうしたところに、私たちは心を動かされるのではないでしょうか。
目下、生成AIによる創造物にネガティブなバイアスがありますが、生成AIにより作られるモデルの増加に伴い、ネガティブなバイアスは低下し、新しい付き合い方が生まれるものと思われます。 まず、近い将来において、AIを用いた創作を経験する人が増えることが予想されます。そうすると、創作に伴うクリエーターに物語があることが想像できるようになるでしょう。そうすれば、人間同様とはいかないまでも、AIモデルを目にした私たちは、その背景にあるクリエーターの想いに感動できるようになるでしょう。
■新しい美のトレンドが生まれる⁉ また、LGBTQの認知度の高まりが、ファッション業界の美の基準に影響を与えているように、AIによって創作された美が、美の概念を変えたり、これまでなかった美のトレンドを生み出したりするかもしれません。 AIで何の工夫もなく美人を創作すれば、平均顔を持つ人物が生成されます。しかし、これでは、何の変哲もない美人です。ここにわざと平均からズレる要素を入れます。美しさの均衡を壊してしまうかもしれない側面と隣り合わせの独自の美を追求していくことで、新たな美が生まれるかもしれません。平安時代の美人と現代の美人が異なることを考えれば、十分あり得るのではないでしょうか。