しまむらAIモデル「瑠菜」魅力を感じさせる特徴 平均顔に絶妙なアレンジが加えられている
Millerら(2023)によれば、AI顔は本物の顔より平均的な顔をしており、この平均性が親近感を生じさせているとしています。この度の生成AIで作られた「瑠菜」の顔は、ただの平均顔ではなく、美しい顔の平均顔だと考えられます。 美人コンテスト出場者の顔を合成し、平均顔を作成すると究極の美人顔ができます。「瑠菜」の場合、顔のパーツ、顔の向き、表情などのアレンジは加えられていますが、美しい顔の平均顔に該当するでしょう。
■魅力的な顔の基準を満たすAIモデル「瑠菜」の特徴 このアレンジもなかなか工夫されています。 27枚中、すべて唇と涙袋が強調されています。大部分が笑顔を見せ、半分以上が顔の左側をカメラに向けています。 唇を大きくすることで女性性が強調され、涙袋を大きくすることで目が大きく見え、可愛らしさが高まります。これらに加え、顔の上半分より下半分を小さくすることで、幼児のような顔を作ることができ、より可愛らしさを演出できます。
また、笑顔は好印象・親近感を醸成します。顔の左側をこちらに向けることで、表情と顔の凹凸が引き立ち、魅力度が向上します。 以上、「個人の好み」という個人差は残るものの、美しい顔の平均顔という特性にアレンジが加わることによって、私たちは、実在の美人よりも生成AIで作られた「瑠菜」をポジティブに評価する可能性が十分にあり得ます。 一方で、生成AIモデルをネガティブに評価するのはなぜでしょうか。「瑠菜」の場合は、最初から彼女がAIだということがわかったうえでの評価ですが、「実在する人間だと思っていたら、AIだと知り、がっかりした」という経験はないでしょうか。
これは、私たちが実在の人物に対して、自然にその人が持つ背景や物語、感情を想像するからではないでしょうか。しかし、AIであるとわかった瞬間、その背後にある物語や感情が存在しないことがわかり、信頼感や現実感は失われ、「同じ身体と心を持っていないのだ」「共感し合うことはできないのだ」、そんなふうに思われてくるのでは、と考えます。 私たちは、AIモデルが目の前にいても、友人とヒソヒソ話が平気でできますし、デジタルサイネージのAIモデルに「おはようございます」と声をかけられても、応答責任を感じないでしょう。