バレー石川祐希、王者への加入決めた覚悟の背景。日本のSVリーグ、欧州王者への思い「身長が低くても世界一になれると証明したい」
ペルージャ移籍は“世界一のプレーヤー”に近づくチャンス
5月17日に行われた移籍会見で、石川は決断の理由や目標、今の思い、これまでの過程などを明快に語ってくれた。 「1月末ぐらいからエージェントと話し始めて、イタリアに残りたいという思いと、トップチームでプレーするという目標がずっとあったので、とてもいいタイミングでペルージャからのオファーがあった。他のクラブからもありましたが、選手、監督も含めて、今の僕にはペルージャがあってるんじゃないかと思って、契約しました。 ペルージャは今季(国内の)すべてのタイトルを獲得しているので、僕自身も来季は優勝のみ、目指して戦います。僕の目標である“世界一のプレーヤー”になれるチャンスが、来シーズンは目の前にある状態なので、そこを勝ち取って、優勝して世界一に少しでも近づけるようなシーズンにしたいと思っています」 これまでにもトップ4からのオファーがなかったわけではないが、「僕の感覚としては、今までは、行っても(アウトサイドの)3番手かなとか、そういうふうに捉えていました」と振り返る。 「今回に関してはそうではないし、自分も自信を持ってペルージャに行けるという、なんというか、覚悟ではないですけど、タイミングがしっかり来るべき時に来たという感じで捉えています」
日本の「SVリーグ」、そして欧州王者への思い
一方で日本では、これまでのVリーグが、2024-25シーズンから“世界一のリーグ”を目指し「SVリーグ」となって生まれ変わる。これまで各チーム1枠だった外国籍選手枠が2枠になることもあり、まだ正式発表にはなっていないものの、世界中のビッグネームが日本のチームに加入すると話題になっており、リーグのレベルアップが予想される。 5月20日には、髙橋藍がSVリーグのサントリーサンバーズに加入すると発表された。日本のリーグにとって節目のシーズンを盛り上げるという意味でも、これも意義のある決断だ。 石川にも当然日本からオファーが届いていたが、それでもイタリアを選んだ理由に、石川のこだわりが表れている。 「トップ選手が日本に行くという情報も知っていましたし、日本からのオファーもありましたけど、今回の欧州チャンピオンズリーグでトレントが優勝したように、イタリアのリーグはやっぱり世界最高峰と言われている。その中で、僕の一つの目標である『イタリアのリーグで優勝してMVPを獲る』ということを考えた時に、その目標を立てている限りは、そこを貫き通したい、と。それにやはりイタリアで、海外のトップ選手たちと練習や試合をすることが楽しいので、僕の根本にある『バレーボールが好き』とか、『バレーボールを楽しみたい』という思いを、イタリアのセリエAが一番体現できるのかなと思って、今回の決断をしました。 SVリーグに関しては、前以上に(日本でのプレーを)考えるようにはなりました。なぜかと言うと、外国人枠が2枠になったから、日本のレベルも間違いなく上がると思うし、その中でできれば面白いんじゃないかと、そういう発想はありました。でも日本でプレーするのはまだ違うかなって。感覚的なことになっちゃうんですけど。イタリアで楽しくまだプレーできていますし、こういう(ペルージャのような)トップチームからオファーをもらえるということは、今までの僕の経験上多くはないので。 今の若い子たちやこれからの子どもたちは、そういうオファーがもっと早くからもらえるかもしれませんけど。日本の男子バレーの価値、評価が非常に上がっているので、以前より行きやすいというのはあると思いますから。でも僕にとっては数少ないチャンスだったので、そこに挑戦というか、目標を達成するために今回は決断しました。 それに今回に関しては欧州チャンピオンズリーグに出られる。そこで優勝した日本人選手はいませんから、そういう初めてのことを成し遂げたいなと思ったので。こうやって僕がトップのチームに行くことができれば、他の選手もそこを目指そうと思うことができますし、今バレーをやっている子どもたちにも、将来の大きな夢になると思うので、そういうところも含めて戦っていきたいと思います」