「全員参加」「ボトムアップこそ大事」は本当? 企業の将来像を示す「ビジョン」を社員に作らせようとするとうまくいかないワケ【起業家が解説】
ビジョン策定を行ううえで押さえるべき「4つのポイント」
まず、ビジョン策定、つまり「8つの質問」に答える過程で、「作りたい世界」「こんな会社にしたい」「社員にはこんな風に働いてもらいたい」「こんなお客さんと仕事がしたい」など、普段から社内で話していたことと従来からあった売上目標が有機的にリンクするようになりました。 具体的な改善点としては、まず経営チームを結成することで、ただの優秀な社員から経営目線をもった本当の幹部へと変わりました。それまでにも幹部らしき人はいたのですが、経営チームとは命名していなかったのです。 意識が変わると、日々の行動も変わります。彼らと共に8つの質問に答えるなかで、社長一人では考えつかなかった大きく、しかもしっくりくるアイデアが浮かぶようになりました。たとえば、幹部は休みなく働くことが常態化していたのですが、「そのような状態が続くのが望ましいのか?」と考えるようになり、否、と答えが出せたのです。 やがて同社では幹部、つまり経営チームが率先して残業を減らすこと、また残業せざるを得ない根本的な原因を取り除くことに注力するようになりました。 そうした経緯を経て、顧客満足度も改善し、さらに新規顧客の獲得が加速したことに加え、社内だけでなく家族との関係も改善したといいます。このように正しいビジョンを作ることは、社内外に価値をもたらし、その影響は多方面に及びます。 以上を踏まえて、本稿のポイントをおさらいすると 全員参加でなく、「経営チーム」でビジョンを策定するビジョンは作るのが目的ではなく、実現するのが目的である実現できるビジョンは「8つの質問」に明確に答えることで策定できる優れたビジョンは、経営だけでなく、経営者や従業員の生活や家族関係も向上させるなどが、ビジョン策定の要点であるとわかります。 これらのポイントを押さえて、ぜひあなたの会社でもよりよいビジョン作りを行ってみてください。本記事がその一助となれば幸いです。 久能 克也 株式会社オプティ 代表取締役 EOS JAPAN合同会社 代表
久能 克也