【高校バスケ】十返翔里と平原侑真、正反対の2人が育んだ一生ものの絆【ウインターカップ】
チームメイトであり、友である関係性
バスケットボールを通じて育まれる関係性は、時に競技を超越したものになることがある。八王子学園八王子の#12 十返翔里と#7 平原侑真の関係性もまた、そうなっていくはずだ。 「SoftBank ウインターカップ2024令和6年度 第77回全国高等学校選手権大会」の男子準々決勝で、第2シードの福岡大附大濠に挑んだ八王子は、大濠の完成されたバスケの前に劣勢となり、最後は67-79で敗れた。 エースの十返が34得点、平原が14得点と続いたが、「試合の入りが良くなくて、相手のエースである湧川裕斗選手にシュートを何本が決められました。自分たちのディフェンスが出せなかったことで少しリズムが崩れてしまって、オフェンスもうまくいかない悪循環になってしまいました」(平原)と、1Qに19-30とされて出鼻をくじかれた。 その後も大濠に主導権を握られ続け、最大で28点差。最終的には差を縮めたものの、一度もリードを奪うことはできず。完敗と言っていいだろう。 だが、この1年の八王子を引っ張ってきたのが十返と平原の両輪だという証しはメインコートにしっかりと残した。数字の面でも前述した両者のスコアが示すとおり、八王子は彼らのチームだった。その関係性は選手として、そして友としてこれからも続いていく。 「僕はどっちというとおちゃらけた性格だけど、侑真は…寡黙な感じですね」。性格は全く違うと十返は笑う。 オンコートでもそうだ。平原は「僕は盛り上げる声掛けはできるのですが、あんまり悪い流れのときに指摘したりはできないです。でも、そういうときに翔里が『これじゃダメだ』って強く言ってくれるので、そういうところは助かっています」と語る。技巧派な平原とダイナミックな十返。プレーも正反対だ。 それでも2人の間には固い絆があった。平原は涙をこらえながら十返との日々を振り返った。「翔里とは1年生の頃からずっと一緒にいて、シューティングもしたし、遊びにも行ったし。本当にずっと一緒にいたんですよ。翔里はすごい選手なので、これからももっと活躍してほしいですし、自分もそれに負けないように頑張りたいです」 十返も言葉を詰まらせながら平原との日々を話してくれた。「オフの日もずっと一緒にいて、バスケをしたり温泉に行ったり。彼は3年間ずっと一緒にいてくれたのでパートナーなので…性格は違いますけど、ふざけるときは一緒にふざけてくれますし、本当に良い関係だったのかなと思います」 夏休みには江ノ島まで自転車で遊びに行ったこともあった。バスケの面でもU18日本代表活動で十返が不在の期間には何度も電話し、チームについて語り合った。それらは全て、青春の思い出だ。 高校を卒業すれば、2人は別々の道を歩むことになる。平原は今後について「お互い最終的には日本代表などで一緒にプレーしたいですし、これから大学などで対戦するときにはエースとしてバチバチにやり合いたいと思います」と語った。 2人が3年間で育んだ絆は、それぞれの人生においてかけがえのないものになっていく──。
文/堀内涼(月刊バスケットボール))