古本に「出会い」あり。「全大阪古書ブックフェア」開催/大阪
師走の本格的古書即売会「全大阪古書ブックフェア」が19日、大阪市中央区粉川町の大阪古書会館で始まり、オープンと同時に古書ファンでにぎわった。歴史や文学の名著から、コミックス、ポスター、レコード、DVDまで、幅広く出品されている。会期は21日まで。
多彩な分野の古書と対面できる便利さ
主催は大阪古書組合で、組合結成90周年記念事業として企画され、大阪を中心に関西の古書店34店が参加。古書即売会は各店舗の得意分野が異なるため、多様なジャンルの古書と対面できる便利さが、古書ファンには大きな魅力となっている。 来場者たちは自身の収集テーマに沿って、会場内を巡回する。たとえば、雑誌を追いかけると、総合週刊誌「週刊公論」「週刊サンケイ」、芸能月刊誌「明星」「平凡」、青年雑誌「平凡パンチ」「ゴロー」など、戦後昭和の世相を色濃く伝えるメディアが、会場内の本棚に点在。さらに「映画芸術」「影」「奇想天外」など、マニアックな専門雑誌を見つけることができた。 書籍や雑誌ばかりではなく、「一枚もの」と呼ばれる錦絵、古地図、絵はがき、ポスターなども展示。古い外国産タバコのパッケージを集めた「煙草関連貼込帖」が作成されたのは、海外渡航もままならぬ時代だった。来場者たちは手作りした持ち主に思いを巡らせ、「貿易商だろうか」「軍人か外交官だったかもしれない」などと語り合いながら、コレクションに見入っていた。
なぜか気になりつい手が伸びる
大阪古書組合の今木紀彰理事長は「ネットの検索は、知りたいことを調べるには便利ですが、本の世界では予期せぬ出会いがあります」と話す。「読んだことのない作家の本でも、偶然目に留まって手に取り、ぱらぱらとめくると、意外と文体がおもしろい。知らないうちに関心が広がっていく。古書の即売会に足を運んで、出会いや発見を楽しんでください」と呼びかける。 「ネットで調べて」堺市からやってきた20代男性の関心テーマは、歴史系。とくに「枕草子」や「平家物語」が書かれた中世初期が好きだという。戦国時代や昭和の漫画史関連の本を何冊か抱え、「中世の本ではないのですが、なぜか気になって、つい手が伸びまして」と、「予期せぬ出会い」を体感している様子だった。 開催時間は午前10時から午後6時(最終21日は4時終了)。古書会館での来年最初の即売会は、1月30日開催の「たにまち月いち古書即売会」(2月1日まで)。詳しくは大阪古書組合の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)