「解雇規制緩和」で経営者は喜ぶべきか?「ダメな社員」を手放しやすくなるチャンスかと思いきや…企業側が直面する“まさかの落とし穴”
【事例】本業+副業で広がる“人脈とスキルの融合”
そんなキャリアを邁進している事例として、社員数700名ほどのIT企業に勤務する飯塚洋平氏(47歳)を紹介しましょう。 私が飯塚氏と出会ったきっかけは、2017年に私が主催する「自律型組織の構築セミナー」に、彼が自腹を切って受講してくれたことでした。 彼のSNSを見ると、「サイボウズ社が提供する業務構築システム『kintone』の勉強会」「企業の経営支援の顧問」「大学講師」「チームビルディングやビジョンデザインの研修講師」など、副業を含む様々な社外活動を行っており驚かされました。 交友関係も、学生、経営者、自社以外の会社員、アスリート、大学教授、霞が関の官僚と多彩です。 このように書くと、特別な人間と思われるかもしれませんが、私は、誰もが彼のようになれる可能性を秘めていると考えています。 その理由は、彼の行動原理は「とにかく人に会いに行く」というシンプルなものだからです。会いに行った人が、次に会うべき人を紹介してくれ、濃厚な人脈が形成されていったのです。 飯塚氏のコア・コンピタンスは、自律型組織の知見を活かしたチームビルディングやプロジェクトマネジメントのスキルと、それを現場で支援するシステム構築のスキルです。それを軸足に起き、様々な人と交流するうちに知恵の融合が起き、上記のような豊富な事業アイデアが生まれるのです。 商品は自分自身、「飯塚洋平」なので、その販促ツールも作成しています。 こうした横断活動ができるのは、とりも直さず「業界を超えて活用できるスキル」を持っているからです。 同時に、彼にここまで副業が認められているのは、副業で習得した経験とスキルを社内に還元しているからです。例えば、後輩の個別指導や、社内プロジェクトチームのファシリテーターを積極的に買って出て、非常に成果をあげています。 また、最近では、キャリア形成に悩み転職を考え出した社員に対し、転職をしなくても魅力ある働き方ができるお手本として、上司が飯塚氏を紹介し、面談をするケースが増えているそうです。 彼には、組織の階層を登ること=キャリアアップという発想はありません。しかし、副業での収入がそれをカバーしているどころか、彼よりも階層が2つ上の上司よりも高い年収を得ています。 本業からのベーシックな収入を軸に「キャリアのポートフォリオ」を形成する飯塚氏のような働き方は、解雇規制緩和の時代を生きる人にとって、深い洞察を与えてくれるのではないでしょうか。
米澤 晋也
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