GDP上方修正 景気は「加速度」的に良くなるのか?
内閣府が9日に発表した4~6月期のGDP(国内総生産)改定値は、実質GDP値で前期比0.9%増、年率換算で3.8%増となっています。速報値(前期比0.6%増、年率2.6%増)から大幅に上方修正されたのは、よい兆しです。今回、GDPが上がったということは、景気回復へ少し近づいていることを意味します。 景気というものは、動き始めるとグングンとよくなっていく傾向があります。商品がよく売れれば、商品の生産者、卸売商、流通業者、それに商店の人の収入が増え、その人たちがお金を使い、それがまた別の人の収入になり…という好循環が加速するためです。では、景気の好循環はどのように起こるのでしょうか。少し理論的に追ってみましょう。 世の中のムードが明るくなり、収入が増えれば、消費を増やしたり、将来のために投資をしたりするのが人間です。たとえば、ここに一軒のイタリアンレストランがあるとします。普段より200万円も多く儲かったので、半額の100万円を使って、本場ナポリのものに負けないピザ窯をつくりました。このように普段より増えた収入のうち、消費や投資にあてられる分を限界消費性向といいます。この場合、限界消費性向は0.5です。この0.5という数値が続いていくと仮定します。 ピザ窯をつくった会社には、100万円が入ります。この会社は100万円×0.5の50万円で、レンガやセメントなどの建設資材を買いました。次に建設資材会社は50万円×0.5の25万円で、造園に使う木や花を買いました。造園業者は25万円×0.5の12万5000円で…と計算していくと、その合計は最終的に約200万円になります。元の2倍の経済効果としてふくれ上がるわけです。この種の経済効果は掛け算的に増えていくことから、「乗数効果」と呼ばれています。 さて、景気を押し上げる経済効果にはもうひとつ、「乗数効果」以上の影響力を持つものがあります。それが「加速度原理」です。