漢方薬には即効性も、副作用もあるって知っていますか?【40代、50代・薬と上手に付き合う方法⑩】
漢方薬での体質改善は「証」を見極める力が必要
「一方で、本来漢方薬が得意とする、体質改善や不定愁訴などの対応を求めるのであれば、漢方薬の専門店を訪れるといいと思います。 本来の漢方薬は体の『証(しょう)』に合わせて処方されるのが基本です。『証』とは生まれつきの体質や体力、現在の症状、『気・血・水(き・けつ・すい)』(※2)のバランスなどを総合的に評価する、東洋医学独特の診断方法のことです。 その人に最適な薬を処方するためには、『証』を的確に見立てる(見極める)力が必要です。この見立てを誤ると、まったく効かないということもあり得るので、漢方に精通した医師や薬剤師がいるクリニックや薬局を見つけることが重要になります。 最近はクリニックや歯科医院などでも、漢方薬を処方するところが増えています。医師や歯科医師が処方した、医療用医薬品としての漢方薬は保険適用になりますが、処方箋のないものについてはすべて保険適用外で自費になります。 漢方薬にも副作用があり、ほかの薬と飲み合わせてはいけないものもあります。医師や薬剤師と相談しながら服用することが大切です」 ※2 「気」は生命活動を生むエネルギー、「血」は栄養を運ぶ血やホルモンの調整、「水」は体内の水分のことで、免疫力にかかわる。東洋医学ではこの3つのバランスがとれている状態が健康と考えられている。
【教えてくれたのは】 鈴木素邦さん 薬剤師。経営学修士(MBA)。「クラヤコンサルティング」代表取締役。城西大学薬学部非常勤講師。東京大学や慶応義塾大学などの教壇に立ち、多くの薬剤師を世に送り出す。薬局薬剤師の経験、多くの薬剤師を輩出した経験をもとに、お客様第一の薬局になれるような薬局向け経営コンサルティングを行う。研修講師としても、薬局経営者向け中心に講座を実施している。著書に『薬の裏側』(総合法令出版)など。 イラスト/いいあい 取材・原文/山村浩子