部活動の新しいカタチ 専門家が動画やオンラインで指導 技術向上だけでなく教員にもメリット
福島テレビ
部活動は、子どもたちがスポーツや文化活動に親しむ大切な機会。一方で、少子化や教員の働き方改革により、学校の部活動が地域のクラブに移行されるなど、そのあり方が変わってきている。通信手段を駆使して、専門家から指導を受ける新しい取り組みを取材した。 <専門家が動画で指導> 福島成蹊高校のアニメーション部。ペンを使ってキャラクターの画を描いているが、参考にしているのは手元のタブレット。タブレットを覗くと、ペンの使い方や色を塗る手順がわかりやすく動画で示されている。 これは遠隔指導支援アプリ「スマートコーチ」を活用した取り組みで、動画で指導しているのは福島県郡山市の専門学校「国際アート&デザイン大学校」の教員などイラストの専門家だ。 アニメーション部の安齋慧悟さんは「動きを真似して、色の濃さとかを出来るだけ上手く描けるように練習している。自分の技術が上げられて良いと思う」と話す。 <外部の専門家が指導するメリット> 生徒たちだけでなく、美術の専門知識がない担当教員にもメリットがある。顧問の穴澤あすか先生は「やはり専門の指導を受けるという事は、生徒にとってもすごく刺激のあること。それを活用することによって、教員の負担軽減とか繋がったら良い」と話し、授業やクラスの担任など仕事が多岐にわたる中、外部の専門家の指導は大きな助けになっている。 この指導支援アプリは、オンラインでやり取りできることが強みの一つ。2年生の柴木優菜さんは、添削を受けた作品を仕上げていた。これまでのアドバイスを参考に、キャラクターにコーヒーを持たせて冬の季節感を表現。この日、講師を務めた専門学生からも高評価を受け、柴木さんも「ストーリー性を意識して描いた。それがちゃんと伝わるようになっていて、すごくうれしかった」と話し手応えを感じていた。 少子化や教員の働き方改革などで変化する部活動のあり方。国際アート&デザイン大学校教務部の山田直美学科長は「指導者不足という悩みがあるのであれば、この後も幅広く続けていきたい」と語る。 <多忙を極める教員の仕事 一助に> 遠隔指導支援アプリ「スマートコーチ」は、部活動の担当教員の支援などに生かしてもらおうと通信会社のソフトバンクが開発したものだ。 こうした商品を活用する背景にあるのが、教員の仕事が多岐にわたり多忙になっていることがある。福島県の教育委員会が教員を対象に調査したデータでは「授業の準備や自己研さんのために時間を確保できているか」という設問に「思わない・あまり思わない」と回答した人が高校で4割以上、中学校では5割近くに上った。 その多忙の原因の一つが部活動とされていて、教員が関わっている一日の平均時間は中学校で2時間8分・高校で2時間16分と2時間を超えている。 このスマートコーチは全国230の中学校・高校の部活動で導入されていて、教員の負担軽減や指導力の向上につながっているという。 こうした新しい手段や外部の専門家の力を借りて、子どもたちも教員もより良く部活動に打ち込めるようになればいい。「スマートコーチ」などのアプリを活用して、地域や専門家が子どもたちの部活動を支える動きは今後も広がりそうだ。
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