【娘が突然泣き叫ぶことも…】27歳元保育士が園児へ性的暴行・被害者家族が抱く「おさまらない怒り」
園児へは「口止め」
「娘からこの話(長田被告からの被害)を聞いた日から、毎日、泣いて過ごしています。毎日、毎日、泣き続けています。娘は寝言で『やめて』と繰り返したりしています。これはいつまで続くのでしょうか」(Cちゃんの母親) 【写真】カチューシャを付けて笑顔も…教え子7人に性的暴行の元保育士・戦慄の素顔 父親が園長を務める保育園など、勤務していた2ヵ所の保育園で合計7人の園児(起訴された順番にA~Gちゃん)に性的暴行を加え、その行為を撮影したとして不同意性交等や児童ポルノ禁止法違反などの罪に問われている元保育士の長田凪巧(おさだ・なぐみ)被告(27)。 ’24年10月15日、東京地裁で長田被告の第6回公判が開かれた。 この日は論告弁論に先立ち、被害者5人の保護者や保護者の代理人による意見陳述が行われた。冒頭の言葉は、最初に意見陳述を行ったCちゃんの母親が涙ながらに語ったものだ。 裁判長の「どうぞ、始めてください」という言葉のあと、Cちゃんの母親はしばらく言葉を発することができなかった。衝立で姿は見えないが、泣いている様子だった。 ’23年12月29日、保育園から帰って来たCちゃんが母親に「保育園の押し入れで目隠しをされて、なぐみ先生に変なことをされた。そして『このことを言ってはいけない』と言われたけど、何かよくないことをされた気がする」と話したことが、長田被告の犯行が発覚するきっかけとなった。 Cちゃんの母親は「これはただ事ではないと思い、すぐに保育園に電話して長田に面会しました」という。しかし長田被告や当時、園長を務めていた長田の父親は、「Cちゃんの勘違いではないか」とまるでCちゃんのほうに非があると言わんばかりの態度だった。 Cちゃんの母親はそのときの悔しさを、嗚咽しながらこう話した。 「長田は頭を抱えて、眉間にしわをよせ、『よく覚えていない』と私に言いました。しかし、長田のその様子から絶対に何かされたと確信しました。私は、正直に話してほしいと、何度も長田に問いかけましたが、長田は何も答えませんでした。 翌日、当時園長だった長田の父親を入れて話しました。長田の父親からは、『お昼寝前に見せた、DVDアニメのワンシーンと混同しているのではないか』とまで言われて、屈辱的でした。こちらに非があるように言われたことが、いまだに悔しくたまりません。さらに長田は、不思議と記憶がよみがえったかのように、『押し入れには呼んでいない』『目隠しもしていない』と、はっきり私に言いました。私は前日とはまったく違う長田の態度に驚きました」 ◆「地雷を埋め込まれた」 その後、長田被告は逮捕されたものの、何ひとつ終わっていないとCちゃんの母親は怒りを滲ませた。 「刑務所に入れば、罪を償ったことになるのでしょうか? 私はそうは思いません。長田が罪を償ったということで、残念ながら社会に戻ることができたとしても、私たち家族はこれからも深いトラウマを抱えながら、人生を生きていかなければいけません」 そして最後、Cちゃんの母親は涙ながらにこう語ったあと、しばらくすすり泣きが止まらなかった。 「何もなかったころに戻りたい。時間を巻き戻したいと心から思いますが、それは不可能なのです。私たちはけっして長田を許しません。私たちは長田に対し、可能な限りの重い刑罰が下ることを心から望んでいます」 次にDちゃんの保護者の代理人弁護士が意見陳述書を読み上げた。 「Dは夜中、突然、泣き叫ぶことがありました。まさか保育園で、想像を絶する恐怖を感じているとは、考えていなかったので、それが深刻なものと思っていませんでしたが、今考えると、被害を受けたときの恐怖によるものだと思います。小さな心で恐怖に耐え、その恐怖を訴えることができなかった子供の気持ちを考えると、親としてもっと早くに気づいてあげられなかったことが、悔しくて、申し訳ない気持ちでいっぱいです」 文面には娘の将来を心配する両親の気持ちや長田被告への激しい怒りが感じられた。 「私たちが心配なのは、今だけではなく、Dの将来についてもです。これから先、どのようなことがトリガーになって、Dにどんな症状が出るのか。進学や就職、恋愛、結婚といったライフステージで、どのようなことが起こるのか。子供の先々が心配でなりません。この事件で、Dの小さな身体に地雷を埋め込まれたように思います。親の私たちにとっては、いつ爆発するか、不安でなりません。今回の犯行によって、重い精神疾患を患うことや自死を選択する可能性もあると思っています。私たちはDにどんな症状が出ようと、命をかけて守っていく覚悟です。 処罰については加害者がしっかりと矯正できるように、厳罰に処されるべきです。そして判決で、保育士による性加害がどれだけ非難されるべきことであるかを、社会に示してほしいと願っています」 ◆今後の人間関係に影響を及ぼす恐れも 続いて、Eちゃんの父親が「私の娘は被告人から性被害を受けました。今回の性被害は娘自身だけでなく、私たち家族をはじめ、周囲を取り巻く環境にも暗い影を落としました」と大きな声で意見陳述を始めた。 事件後、日常生活の中で今まで感じたことのなかったストレスや不安を感じるようになり、家族全員が心身ともに傷ついたという。 そして何よりEちゃんの今後が心配だと語気を強めた。 「今後、娘が成長していくなかで性について知るときに、どのような影響が出てくるのか心配でなりません。PTSDを発症したり、男性と付き合えなくなる、対人関係をうまく構築できなくなる、うつ病になり社会に出られなくなるなど、娘は普通に幸せに暮らしていけるはずだったのに、人生が大きく変わってしまうかもしれません」 事件後、性病を心配して、Eちゃんは検査を行ったという。 「さまざまな不安が募るなかで、もし娘に性病がうつっていたらという不安もあり、娘は性病の採血検査を行いました。娘が泣き叫びながら、痛い思いをして採血をする姿を見るのは、とても辛かったです」 長田被告に対する怒りで、Eちゃんの父親の声はどんどん大きくなっていくのだった――。 後編記事『【去勢し、独房に…】教え子7人に性的暴行の元保育士が被害者家族に言い放った「空虚な謝罪」の中身』では、長田被告が法廷で語った「謝罪の言葉」について取り上げる。 取材・文:中平良
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